新潟県上越市の高田地区中心市街地活性化計画で2つの核と位置づけられた商業施設「イレブンプラザ」(本町4)と「あすとぴあ高田」(本町5)がオープンして6年が経過し、事業効果についてのアンケート調査結果がこのほど公表された。本町商店街では、両施設のオープン前に比べて、来客数・売上とも減少したと回答した店舗が約半数にのぼり、特に土日曜・祝日では来客が増加したという回答はゼロで、再開発後の厳しい現状が浮き彫りになった。
再開発前と現在を比較
アンケートは上越市中心市街地活性化協議会が実施。2013年春の両施設オープン以前と現在を比較して、商店などに来客数や売上の変化を聞いた。高田中心市街地の小売、飲食、サービス業200事業所を対象に今年5月に調査し、33%にあたる66事業所から回答があった。
土日曜・祝日の来客増加はゼロ
来客数は、平日では「変わらない」が最も多く39.4%だったが、「やや減った」(16.7%)、「減った」(21.2%)、「かなり減った」(10.6%)の合計が48.5%を占めた。減少の合計は前回3年前の調査より15ポイント増えた。土日曜・祝日の減少の合計は48.6%だった。本町3・4・5商店街のみでは、減少が平日で50.0%、土日曜・祝日で52.6%に達した。特に土日曜・祝日について増加と回答した店舗はなく、平日よりも厳しい状況がうかがえる。
売上も半数近い店舗で減少
売上については、平日で減少が合計で47.0%を占め、前回3年前の調査から7ポイント上昇。「変わらない」は33.3%だった。土日曜・祝日では、減少が50.0%に達した。一方で、平日では「やや増えた」が前回の6.0%から10.6%に増えており、同協議会では個店の営業力の差が影響していると分析している。
あすとぴあのテナント依然埋まらず
あすとぴあ高田は国の認定を受けた中心市街地活性化事業の核施設として、2013年4月にオープンしたが、計画で求められた生鮮スーパーが1年半余りで撤退し、その後は現在も空いたままとなっている。また、2階はオープンから約2年半の間まったくテナントが入らず、2015年11月になって日本政策金融公庫高田支店が入居。しかし残る半分ほどのスペースは依然空いたままだ。一方、もう1つの核施設「イレブンプラザ」はすべてのテナントが埋まっている。
2つの核施設の整備事業費は当初計画ベースで約46億円で、このうち約29億円が国や市からの補助金。完成後もイベントやまちづくり会社への支援などソフト事業に補助金が支出されていている。
補助金依存の事業運営など課題
市では、2013年度までの中心市街地活性化基本計画で2施設のハード整備などを終え、2014年度からはイベントなどのソフト事業を中心とした「中心市街地活性化プログラム」を実施。しかし、歩行者交通量の増加や空き店舗の減少といった目標は達成できなかった。
現在は、2017〜20年度までの第2期プログラムを実施中。外国人誘客などの新たな取組を始めた一方、イベントが恒常的な商店街への来客増につながっていないことや、補助金に依存した事業運営、担い手不足などが課題が明らかになっている。この期間でも目標達成は極めて困難な見通しで、2020年度からの第3期プログラムでは、中心市街地活性化の考え方や商店街や行政といった関係団体の役割の再整理などを行うことを検討している。