佐渡汽船小木―直江津航路にカーフェリー復活 「あかね」運航終了から3年 「こがね丸」就航 

新潟県の佐渡汽船小木―直江津航路に2023年4月29日、カーフェリー「こがね丸」が新たに就航した。赤字解消のため売却された高速カーフェリー「あかね」の運航終了から約3年。念願のカーフェリー復活に、上越市港町1の佐渡汽船ターミナルでは就航式が開かれ、テープカットや太鼓演奏などで新たな船出を祝った。

太鼓演奏などで直江津港出港の見送りを受ける「こがね丸」

同航路では、2015年就航のあかねが赤字解消のため2021年6月に売却され、2021年4月からはジェットフォイル「ぎんが」(両津ー新潟航路で運航中)が運航していた。佐渡汽船はカーフェリーの再導入を望む地元などの声を受け、中古カーフェリーを購入し就航させた。就航後の赤字支援として、県や上越市、佐渡市は総額11億円を支援する。

松本CEO(右)や花角県知事(左)、中川上越市長(左から2人目)らがテープカット

就航式は、小木港からの第1便の到着と折り返しの直江津港発の第2便の出港に合わせて行われ、花角英世新潟県知事や中川幹太上越市長、地元選出国会議員や県議、市議などが出席した。

同社会長でみちのりホールディングスの松本順代表取締役グループCEOは、「本土からの観光客をできるだけ多く乗せ、佐渡からは便利に使ってもらい、物流面では地域の産業経済の活性化を担うべくデジタル化など利便性を強化していく。さまざまな支援で佐渡汽船の再建は一定の進捗(しんちょく)をみており、社員の士気は上がっている」とあいさつ。

上越市の中川市長は「敦賀まで北陸新幹線がつながることで関西方面の観光客をカーフェリーで佐渡に送ることができ、交通の便がよくなる。また(佐渡金銀山の世界遺産登録に向け)観光客を上越市に泊め、カーフェリーで佐渡に送り込むことを絶対に実現しなければならない」と期待を込めた。

上越市民に見送られながら改札を通る乗船客ら

佐渡市出身で茨城県つくば市の40代の女性は親類宅に帰省するため家族4人で自家用車で乗船した。「佐渡を離れた母も一緒なので車でないとだめ。ジェットフォイルの間は帰省していなかった。カーフェリーが再開してうれしい」と話した。また20代の息子と佐渡市の実家に帰省する京都府福知山市の50代の女性は「ずっと冬に新潟港から帰省していたので、たまには違う季節にしたいと思って来た。レンタカーもあるが、マイカーの方が佐渡に行ってから便利」と話していた。

出港の際には、岸壁で名立太鼓の太鼓演奏が披露され、直江津祇園祭の屋台も登場してにぎやかな祭りばやしで見送った。

直江津港を出港するこがね丸

同社によると、就航初日に直江津港から佐渡に向かったのは、2便合計で乗客476人、車両84台(バス1台含む)、バイク22台だった。30日は強風の影響で直江津発、小木発とも全便欠航の予定。

愛犬と船旅楽しめる「こがね丸」

こがね丸は2001年建造で全長116.5m、2483総t。定員は584人で、乗用車150台を積み込める。じゅうたん敷きの2等自由席と1等指定席のほか、シングルベッド2床とソファ、トイレなどを備えた特等室がある。同社初となる犬と一緒に過ごせる「1等ウィズ・ドッグルーム」は、10kg未満の小型犬3匹と定員3人。貸し切りも可能で、デッキには潮風に吹かれながら愛犬を遊ばせることができる専用ドッグランもある。

運航は1日2往復、2時間40分で結び、11月12日まで運航する。

1等ウィズ・ドッグルーム
2等自由席
特等室
デッキには鐘のあるフォトスポットも
ウィズ・ドッグルーム専用のドッグラン
1等指定席
1等、特等専用ラウンジ
ペットルーム

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