大部分を輸入に頼る牛のエサ代の価格高騰を受け、新潟県上越市の畜産農家の代表らが2023年4月19日、飼料代の補助などを求める陳情書を同市の中川幹太市長に提出した。
支援を要望したのはJAえちご上越と同JAの酪農部会、肉用牛部会。同市内では3月1日現在、乳牛は8戸で143頭、肉牛(繁殖・肥育)は14戸で543頭が飼育されている。同JAによると、ロシアのウクライナ侵攻による物流の混乱や円安などの影響で輸入飼料は約3年前に比べ4割も値上がりし、畜産農家の経営は危機的状況にあるという。
陳情書では、現状では畜産農家の経営努力をもってしても対処しきれないとして、飼料代の一部を補助するなどの緊急支援と合わせ、飼料代削減のため稲作農家が水田で飼料用イネを栽培して畜産農家に供給し、畜産農家は堆肥を還元する「耕畜連携」の構築も求めている。
肉用牛部会の渡辺洋一部会長は「畜産物は電気代のように、原価がかかるからこれ(価格)で売りますよというのが、なかなかできない。酪農の方は、もう毎日搾れば搾るほど赤字という世界」と窮状を訴えた。
中川市長は「この土地で生産されたものをより適正な価格で売っていかなければいけない。物価高に変わりはなく、緊急支援も考えていきたい」と、支援策を検討する考えを示した。
酪農部会の木下保部会長は「エサ代が経費の半分を占めるので、5割近い値上がりは経営を直撃する。市民には県産牛乳やくびき牛などの県産牛を手にとってほしい」と話した。