2023年3月13日、新型コロナウイルス感染対策のマスク着用が「個人の判断」に委ねられた。政府はこれまで、感染対策として屋内では原則マスク着用としていた方針を変更した。厚生労働省の指針では事業者が感染対策や事業上の理由で、利用者や従業員に着用を求めることは許容されるとしており、新潟県上越市や妙高市では行政や企業によって対応は分かれている。
上越市は職員着用継続、妙高市は個人判断
上越市役所は来庁者にマスクの着用は求めない。10日までは来庁する市民などに向けて、「マスクの着用をお願いします」と書かれた呼び掛けを庁舎の正面入り口などに掲示していたが、13日からはマスク着用の文言を削除したものに変更した。職員は業務中は原則着用を継続している。ただし、2m以上の距離を確保できる場合は外すことも可能とした。
人事課によると、職員の着用継続は、新型コロナの感染症法上の位置付けが「2類相当」のままのため、職員が感染して他の職員が濃厚接触者となった場合に業務に影響が出ることを避けるためという。上越市議会も3月定例会中はマスクを着用することにしている。
一方、妙高市役所は来庁者、職員共に個人の判断に委ねることにした。窓口対応など来庁者と接する場面では、職員は着用する。13日はほとんどの職員がマスクをして業務に当たっていた。
スーパーやコンビニの従業員はマスク
大手スーパーやコンビニエンスストアは、従業員はマスクの着用を続け、来店客には求めないのがほとんどだ。13日もこれまでと変わらず、マスク姿の客が大半を占めたが、店内でマスクを外して買い物をする客の姿も見られた。上越市内に住む無職の男性(67)は「マスクは一応持っているが、早く普通の生活に戻りたくて外した。周りの目が怖いと思う方も多いと思う。(他人から)見られる感じはしたが、誰かが始めないとね」と話した。
上越地域に7店舗を展開するスーパーマーケット「イチコ」では、客のマスク着用は各自の判断に委ねているが、 勤務する従業員はこれまでと変わらずにマスクを着用して接客などに当たっている。レジに設置している飛沫(ひまつ)防止パネル、店舗出入口のアルコール消毒液は当面の間、設置するという。
客、従業員共に個人判断の飲食店も
飲食店は従業員はマスク着用を続け、来店客は個人判断のケースが多いが、妙高市の道の駅あらいにあるラーメン店「食堂ミサ あらい道の駅店」は来店客、従業員共に、マスク着用は個人の判断とした。家族連れなどグループでの来店が多く、「他人同士で相席になることはない」として座席の仕切り板を撤去し、テーブルごとの間隔を空けた。上越市中郷区稲荷山の本店、同市黒井のはまや店でも同様の対応をとっている。
学校は4月から着用求めず
上越市立の小中学校では文科省の方針を受け、本年度中はマスク着用を従来通り実施する。市教委によると、屋外活動や体育の授業などでは非着用を認めている。妙高市立の小中学校でも本年度内はこれまで通り、校内では原則着用とし、体育の授業や2m以上の間隔が確保できる場合は外してもよいとしている。
新年度の4月1日以降、文科省の方針で、教育現場ではマスク着用を求めないことが基本とされるが、両市の教育委員会によると、正式な通知がまだ届いていないことから、届き次第対応に当たるという。
マスク着用が推奨される場面も
感染リスクを考慮し、引き続きマスクの着用が求められる場面もある。厚生労働省は、医療機関を受診する時や高齢者施設を訪問する時、混雑した電車やバスに乗車する時(全員の着席が可能な新幹線や高速バス、貸切バスなどは除く)は着用を推奨。医療機関や高齢者施設の職員も勤務中の着用が推奨されている。高齢者や妊婦、がんなどの基礎疾患がある人など重症化リスクの高い人が流行期に混雑した場所に行く場合も、感染を防ぐためマスクの着用が効果的としている。
政府は個人の意思に反してマスクの着脱を強制することがないよう配慮を呼び掛けている。