ワイン熟成に使う雪室に雪入れ 岩の原葡萄園

新潟県上越市北方の「岩の原葡萄園」は2023年2月13日、ワインの熟成に利用している雪室に、雪を入れる作業を行った。130年以上の歴史を持つ同社の創業者のアイデアを受け継ぎ、雪を利用した雪国ならではのワイン造りに取り組む同社。今年は積雪不足のため同市牧区からも雪を調達し、雪室内に雪を飛ばし入れていった。

除雪機で雪を飛ばして雪室の雪入れを行う作業員

同社創業者で「日本のワインぶどうの父」と呼ばれる川上善兵衛(1868〜1944)は、ワインの発酵温度などを管理しようと、冷却設備のない明治時代に雪室を設置。その後2005年に、環境負荷軽減のため雪室を再建し、復活させた。

雪室は、プレミアムワインや「深雪花 赤」がたるに入って熟成されている「第二号石蔵」の4〜10月頃の室温管理に活用する。雪室の雪が解けた水を熱交換器に通して石蔵の空調に利用し、室温を18度に保つという。

今年は積雪が少なく、雪を確保するため雪入れの時期を例年より1週間ほど遅らせた。牧区からトラックで雪室前に運び込まれた雪を除雪機で雪室内に飛ばしていき、雪山が高く積み上がっていた。雪室が満杯になる300tの雪を、2日間かけて入れる予定だという。

牧区からも調達した雪をトラックで運び入れた

同社製造部でブドウ栽培のリーダーを務める西山行男さん(59)は「やっと雪入れができて安心している。善兵衛さんの自然のものを利用してものをつくることに非常に共感しているので、私たちが継続してできれば」と話していた。