合格率10%の難関「日商簿記1級」に独学で合格 高田南城高3年の朝倉将太さん

日本商工会議所が主催する「第162回日商簿記検定試験」の1級に、新潟県立高田南城高校通信制課程3年の朝倉将太さん(19)が合格した。大学生や社会人が多く受験し、合格率10%前後とされる狭き門を独学で突破し、「目標にしていたのでうれしい気持ちでいっぱい」と喜びを語った。

日商簿記検定試験1級に合格した朝倉さん

同検定1級は、会社の経営管理や分析に必要とされる高度な会計知識が求められる。合格すると税理士試験の受験資格が得られ、税理士をはじめ公認会計士など国家資格の登竜門とされている。

試験は商業簿記、会計学などの4科目からなり、100点満点中70点以上が合格の基準。朝倉さんが挑戦した昨年11月の試験には全国から9828人が受験し、合格者数は1027人、合格率は10.4%だった。上越商工会議所によると、1954年の第1回試験以降、高校生が1級に合格するのは市内で2例目だという。

資格取得が進学などで強みになると考えた朝倉さんは、1年生の冬から独学で簿記の勉強を始め、同検定1級の合格を当初からの目標としていた。単元ごとに区切るなどその日の課題を明確に決めて取り組み、2021年に同検定2級、2022年には全国商業高等学校協会が主催する簿記実務検定試験に満点合格で1級を取得している。

報道陣を前に合格の喜びを語った

試験前の約3か月間は過去問を解いては復習を繰り返し、1日10時間ほど机に向かったという。試験を振り返り「過去問になかった出題形式があり、焦りや不安があった。簿記の勉強に全部つぎ込んだ生活だったので合格できて安堵(あんど)した」と笑顔を見せた。

同校通信制課程の児玉悟教頭は「商業の授業は少ないので、独学でここまで達成できたのは、通信制の仕組みを上手に生かして取り組んでくれた成果」とたたえた。

将来の目標は公認会計士。今回の合格をきっかけに、1月から公認会計士試験に向けた専門スクールに通い始めた。4月からは東京都内の大学の経済学部に進学が決まっており、学業と並行して12月にある試験での合格を目指す。朝倉さんは「地域に根ざして企業に寄り添い、後押しできるような存在になりたい」と目を輝かせている。