5万年ぶりに地球に接近している「ZTF彗星(ズィーティーエフすいせい)」を2023年1月22日、新潟県上越市板倉区在住の会社員でアマチュアカメラマンの山田秀一さん(49)がカメラに収めた。ZTF彗星が見られるのは今回限りで、2月2日未明に地球に最接近し、最も明るく見える。見頃は2月中旬まで。
国立天文台によるとZTF彗星は2022年3月、アメリカのパロマー山で行われている観測プロジェクトで発見された。計算上では前回は5万年ほど前に太陽に近付いたと考えられる。現在の軌道から将来的には太陽系から離れて二度と戻ってこないとされており、今回が一生に一度の観察の機会だという。
2月2日に地球に最接近し、その距離は約4200万km。1、2日頃を中心に約5等級まで明るくなる見込みだが、淡くぼんやりとしているため市街地では肉眼で観察することは難しく、双眼鏡や望遠鏡、カメラが必要。写真では彗星に含まれるガスの成分により、緑色の光が写る。
1月30日前後は北極星の辺りまで近付くため一晩中見ることができ、深夜の時間帯に北の空で最も高い位置となる。2月に入ると十分に空が暗くなった夕方には北の高い空に見られ、観察には夕方から宵の時間帯が好条件だ。
彗星の撮影に成功した山田さんは写真歴16年で、日頃から星空を好んで撮影している。月の明かりなどの影響を考慮して撮影日を決め、2週間ほど前から撮影場所の下見など準備を進めていたという。21日午後9時頃からポイントを変えながら撮影を試みたが雲がかかっており、諦めて自宅に戻っている途中で空が晴れ、22日午前0時51分に同区針の農道で撮影に成功した。
「深夜の田んぼの中で『やった』と叫んだ。写真仲間にもすぐ連絡した」と喜びを語る山田さん。「上越の奇麗な夜空を見ると、気持ちも上向きになるので皆さんにもぜひ見てほしい」と声を弾ませていた。
観察のポイントなど詳細は国立天文台ホームページで確認できる。