スマホの新機能で119番誤通報相次ぐ スキー場での転倒を交通事故と認識

最新のスマートフォンなどに搭載されている衝突事故の衝撃を検出し、自動で119番通報する衝突検出機能。事故の当事者に意識がない場合でも救助を要請できる便利な機能だが、スキー場で転倒した場合にも作動することがあり、全国の消防本部に誤通報が相次いでいる。管内に多数のスキー場がある上越地域消防局でもこの1か月ほどで、30件以上の誤通報があった。

アイフォーン14が衝突を検出した際に表示する画面(アップル公式サイトより)

衝突検出機能は、昨年9月に発売されたアップル社製のアイフォーン14やアップルウォッチ8に搭載されている機能で、激しい自動車衝突事故を検知する。「衝突事故に巻き込まれた可能性があるようです」とメッセージが表示され、20秒経った後もキャンセルするなど持ち主の反応がない場合、自動的に119番通報し、事故に遭ったことや、緯度と経度による位置情報などを自動音声で伝える。繰り返される音声を止め、救急隊員との通話に切り替えることもできる。

上越地域消防局管内では約1か月で34件

同局指令統制課によると、管内のスキー場が本格オープンした昨年12月下旬から同機能による誤通報が確認され、1月16日時点で約34件あった。位置情報は全て管内いずれかのスキー場で、スキーやスノーボードによる転倒、人同士の衝突を誤って検出しているとみられる。

スノーボードで転倒する人(写真はイメージ)

このうち途中で切れたり、自動音声が流れ続けたりする場合には折り返し、出動の必要性を確認している。連絡がとれるのが数時間後になることもあれば、知らない番号からの電話を取らない人もいるといい、「連絡がつかないとずっと不安を抱えていることになる。電話に出て、間違いなら遠慮なく言ってもらえると非常に助かる」と吐露する。

連絡がとれない、または海外の番号でつながらない時にはスキー場に情報提供している。「まだ対応できる範囲」としつつも、「火災や救助など実災害の対応中に重なり、他の救急が後手に回るようなことがあれば業務の支障になる」と危惧している。

交通事故では「役立つ機能」

誤通報が相次ぐ一方、上越市内では1月、実際の交通事故で同機能による自動通報が1件あった。正確な位置情報が得られたほか、目撃者からの通報が多い中、当事者と直接話ができたため状況把握もスムーズだったという。

同課では「交通事故の一例を見ても必要な時には本当に便利な機能。スキー場では誤通報が起こる可能性があるということを認識した上で、転んだ時に確認するなど対応してほしい」と呼び掛けている。衝突検出機能は設定でオンオフの切り替えができる。