オーストリア・ハンガリー帝国の軍人レルヒ少佐が112年前、新潟県上越市に日本で初めてスキーを伝えた日にちなむ「スキーの日」の2023年1月12日、金谷山スキー場で「レルヒ少佐顕彰会」が開かれた。市内のスキー関係者や地元小学生ら約80人が参加し、レルヒ像への献花や少佐が伝えた「一本杖スキー術」の披露が行われ、偉業をたたえた。
1911年1月12日、軍事視察で来日していたレルヒ少佐が、高田の旧陸軍に日本で初めてスキー術を指導したことから、2002年に国内のスキー関係団体が1月12日をスキーの日に制定。顕彰会は毎年この日に合わせ、レルヒの会、レルヒ祭実行委員会、上越市スキー関係団体連絡協議会が開いており、新型コロナウイルスや大雪の影響で今年は3年ぶりの開催となった。
あいさつに立ったレルヒの会の大西旬会長(74)は「顕彰会を通して、少佐をはじめこれまでの関係者に尽力いただいた歴史を理解していくことが大事」と意義を語った。来賓の中川幹太市長は「全国でスキーが広がっているが、ここでスキー指導が始まった。これからも皆さんと共にこの歴史文化を次の世代にも伝えていきたい」と話した。
同スキー場の今季の営業開始は積雪不足で延期になったが、恒例の一本杖スキー術の披露は実施。レルヒの会のメンバーが1本の長い杖を手に、斜面を華麗に滑り降りた。その後、出席者一人一人がレルヒ像に献花。同スキー場でスキー授業を行う市立高田西小を代表して参加した5年生4人が、「スキーに親しむことができるのはレルヒ少佐のおかげ。本当にありがとうございました」と感謝を述べた。
また、日本スキー発祥100周年の年から毎年記念点火されている「日本スキー発祥の火」の分火も行われ、ゆるキャラ「レルヒさん」が、スキー関連イベントを行う関係者に、火のともったランタンを贈った。