標高約800m、長野県との県境付近に広がる新潟県上越市板倉区関田の光ヶ原高原で、同市の若手農業者2人が小麦栽培に挑戦している。高田圃場(丸山新田)代表の早津知祥(ちあき)さん(31)と、頚北農園(頸城区下米岡砂原)の上野千一さん(33)だ。黄金色の麦の穂が高原の風に揺れるのは初夏の予定だ。
早津さんと上野さんは、それぞれ園芸農家として枝豆やキャベツ、タマネギ、オクラなどを栽培し、学校給食にも提供している。2人は若手農業者の勉強会などで知り合い、市内の遊休農地を使った小麦栽培を検討してきた。小麦を選んだのはパンや麺など需要が高いものの、上越産小麦の生産者はわずかなほか、野菜栽培との作業分散を考慮した。
光ヶ原高原は1964年に旧板倉町がブナ林などを伐採して開いた牧場だったが、畜産農家の減少で2006年に閉鎖された。現在は地元の農業法人と生産組合が牧場跡地でソバの栽培を行っている。耕作されていない土地も多い。
地権者から畑作をしていた土地1.3haを借りた2人は昨年9月末に雪に強い小麦品種「ゆきちから」の種をまいた。標高が高いことから、小麦の産地、北海道の栽培指針を参考にしており、11月中旬には雪の下で作物が腐る「雪腐病」を防ぐため、農業用ドローンを使って防除も行った。収穫は7月上旬で、約5tの収穫を目指している。
上越産小麦を使いたいラーメン店やパン店の関心も高いという。早津さんは「上越産小麦の栽培が盛り上がれば、飲食店などとつながることで地産地消になる」、上野さんは「小麦栽培は初めてで分からないこともあるが、小麦だけでなく他の野菜も光ヶ原で栽培してみたい。ラベンダーなどの花を植えて楽しめる場所にもしたい」と夢を語った。
▽インスタグラム (仮称)ハイランドフィールド光ヶ原
光ヶ原高原の小麦の栽培場所