「芸能科の記憶」 新潟大学高田分校閉校から40年 卒業生や元教員の作品を展示

かつて新潟県上越市の高田城址公園内に立ち、「芸能科」の愛称で親しまれた新潟大学教育学部高田分校芸能学科の卒業生や教員の作品を一堂に展示する企画展「芸能科の記憶 学び舎から飛び立った作家たち」が2022年10月8日から、同市本城町の小林古径記念美術館で開かれている。閉校から40年の節目に、県内を中心とした芸術文化や美術教育の発展を支えた作家ら52人の絵画や書、陶芸などを飾る。

卒業生や教員の作品をはじめ、当時の様子を伝える資料が並ぶ会場

1949年の同大開学と同時に、美術、書道、工芸、音楽、体育の5学科を備えて設置された。芸術分野では、第一線で活躍する作家らが教鞭をとり、全国各地から学生が集まって制作に打ち込んでいた。数多くの作家や美術教員を輩出し、学園祭やまちなかで開催される個展には多くの市民が訪れるなど親しまれていたが1982年、本校に統合という形で32年の歴史に幕を閉じた。

企画展は節目の年に、地域との結びつきも強かった芸能科を振り返り、現在も活躍する作家たちを紹介する機会にしようと企画した。芸能科がテーマの展覧会は、卒業生が中心となって開催した2008年以来で、同市では初めて。

細やかな技法が光る日本画など

会場には日本画、西洋画、工芸・彫塑、書道の分野ごとに多彩な52点が並ぶ。中には音楽科の学生をモデルとした作品や、解体される前に別れを惜しんで描いた校舎など、作家たちの芸能科での思い出を垣間見れる作品もある。

音楽科の学生や、高田の雁木通りを描いた西洋画など

多彩な作品が並ぶ工芸・彫塑、書道分野の展示室

また校舎や制作風景を収めた写真や映像、学生たちが使っていた履修カード、時間割、授業ノートなど、当時の大学生活がうかがえる貴重な資料も展示されている。

校舎の写真や手すりなど、当時の面影を感じられる資料も

伊藤舞実学芸員は「バラエティーに富んで、個性あふれる作品ばかり。高田に勢いのある学生がいたことが伝われば」と話している。

会期は12月18日まで。開館時間は午前9時〜午後5時で、11月11〜20日は同館庭園の紅葉ライトアップのため、午後7時まで延長する。12月は午前10時〜午後4時。入館料は一般510円、小中高生260円で、市内の小中学生は無料。休館日は月曜と祝日の翌日。月曜が祝日の場合はその翌日。

期間中は鑑賞会などの関連イベントもあり、詳細は同館ホームページで確認できる。

◇小林古径記念美術館 https://www.city.joetsu.niigata.jp/site/kokei/