雁木だけで立つ上越市大町5の「ど根性雁木」 建て替えで生まれ変わる

新潟県上越市大町5の雁木通りに、住宅部分がなく長年雁木だけ残っていた通称「ど根性雁木」が建て替えられ、2022年9月に完成した。旧雁木は建築から100年以上が経ち、老朽化していた。

建て替えられた上越市大町5の新「ど根性雁木」

雁木は家から張り出した軒や庇(ひさし)で、豪雪地の高田では、雪や雨から歩行者を守る雁木が連なっている。ど根性雁木はもともと町家と一体だったが、20年ほど前に住宅を取り壊す際、当時の町内会長が「町内で管理をするので雁木だけでも残してほしい」と所有者に掛け合ったという。8年ほど前には、地元の市立大町小児童が雁木やまちづくりを学ぶ中で、家がなくても独立して立つ雁木の姿に「ど根性雁木」と名付けた。

同町内は住民が協力し雁木の街並み保存に積極的に取り組んでいる。大雪の時には優先してど根性雁木の雪下ろしするなどしてきたが、老朽化が進んだことや通学路でもあることから、本年度創設された市のまちなか居住を推進する補助金を活用した建て替えを東京の所有者に提案した。まちなか居住推進のモデル地区となった同町内では、改修費の6分の5が補助される。

雪の重みに耐えられる頑丈な造りになった

解体作業を含め約1か月で新雁木は完成。長さ約5.5m、高さはこれまでより高くなり約3m。旧雁木と同じ木造だが、柱には筋交いもあり、雪の重みから屋根をしっかり支えられる頑丈な造りだ。

隣りに住む自営業、岸波敏夫さん(68)は「安全安心な雁木になった。東京の所有者の方や住民の協力が得られたのは、雁木を通じた心のつながりだと思う」と感慨深く“新ど根性雁木”を眺めた。

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