地震想定した上越市総合防災訓練 住民や関係機関約1600人参加

新潟県上越市は2022年8月28日、谷浜、桑取区内で総合防災訓練を実施した。地震が発生し津波警報が発表された想定で、住民の避難をはじめ、コロナ禍に対応した避難所開設や負傷者救助の訓練など、住民や関係機関約1600人が参加し、有事の連携を確認した。

避難所の谷浜小体育館にテントや段ボールベッドを設置する市職員ら

総合防災訓練は、住民の防災意識高揚や、住民と関係機関の連携強化などを目的に、会場の地域を変えて毎年行っている。コロナ禍のため、昨年は避難訓練のみの実施、一昨年は中止されたため、例年とほぼ同規模の訓練は3年ぶりとなった。

想定内容は、上越沖を震源とする地震が発生し、市内で震度6強を観測。上中下越に津波警報が発表され、谷浜、桑取区では家屋の倒壊や土砂崩れが発生しているというもの。22町内会の約1400人のほか、15行政機関と31市民団体などから約200人が参加した。

午前10時過ぎに避難指示が出されると、各町内では一時集合場所などへ避難。指定避難所の市立谷浜小学校では、自衛隊OBの県隊友会上越支部や市職員らが協力して段ボールベッドやテントを設置。新型コロナに対応した避難所開設・運営マニュアルに従い、体調不良者専用スペースの確保や、避難してきた住民の体温計測などを行った。

谷浜小に避難する住民

住民約35人とバスで谷浜小に避難した中桑取町内会の吉川信幸会長(75)は、「大規模な避難訓練は初めてでありがたい。バスを降りてから小学校までの短距離でも、高齢者は歩くのが大変なので押し車も持ってきた方がいいと思った。今後役員で課題を話したい」と語った。

このほか、潮陵中学校の屋上や倒壊家屋に取り残された負傷者を救助する消防訓練や、えちごトキめき鉄道協力の下、緊急停止した列車の乗客の避難誘導訓練などが行われた。

潮陵中学校屋上に取り残された避難者に見立てた人形をロープで救助する消防職員

倒壊家屋から負傷者を救助する消防職員

訓練後、中川幹太市長は「自分が被災した時にどう行動するのかという意識を地元の方々に持ってもらったことが一番大切。まずは町内、地元で動くことを意識しながら訓練を繰り返したい」と述べた。