高田瞽女など人間の生き様描く 「斎藤真一生誕100年記念展」 小林古径記念美術館で9月25日まで

盲目の旅芸人、瞽女を描いた作品で知られる斎藤真一(1922〜94)の生誕100周年を記念した企画展「生誕100年斎藤真一展 瞽女と郷愁、さすらい」が2022年7月2日から、新潟県上越市本城町の小林古径記念美術館で開催されている。初期作品から絶筆まで51点のほか、映像資料やアトリエ再現など多彩な展示で斎藤の画業をたどる。

斎藤のアトリエ再現展示を見つめる長男の裕重さん

岡山県出身の斎藤は東京美術学校卒業後、高校の美術教師として働きながら日展や光風会展で作品を発表。1964年からは東北で存在を知った瞽女に引かれ、約10年間にわたって休暇のたびに高田を訪れ、“高田瞽女最後の親方”杉本キクイさんや各地の瞽女宿を取材した。

上越市での斎藤展は2012年以来10年ぶり。絵日記「越後瞽女日記」の一部と、それを基に瞽女を描いた絵画シリーズをはじめ、映画「吉原炎上」(1987)の基となった吉原遊女がテーマの作品や、自画像、絶筆の静物画など、同館所蔵と個人所蔵を一堂に展示する。各作品と同時期に書かれた斎藤の日記の文章なども併せて飾り、同館は「解説なしに斎藤の言葉を見て作品を感じてほしい」と話す。

越後瞽女日記シリーズ

ロマンティシズムあふれる晩年の作品

また、制作風景を撮影したテレビ番組の上映や、東京・世田谷の自宅アトリエの再現展示も実施。アトリエの画材や座布団などは全て実際に使っていたもので、報道向け内覧会に出席した斎藤の長男、斎藤裕重さん(70)は「父の姿が見えるようで涙ぐんでしまう。父は初期から晩年まで、人間の生き様を絵描きとして残したかったんだと思う」と作品の魅力を語った。

二の丸ホールには作品の顔出しパネルも。今回の展示作品は写真撮影可能

会期は9月25日まで。午前9時から午後5時まで。月曜休館だが、観蓮会期間中(7月16日~8月21日)は無休。入館料510円、小中高生260円。名前の読みが「さいとうしんいち」の人は入館料無料、着物や浴衣姿の人は団体料金となる特別割引も実施している。

また同市東本町1の「瞽女ミュージアム高田」でも、「齋藤真一生誕百年展」(7月2日〜9月25日)を開催中。1937年(昭和12年)建築の雁木町家に斎藤作品や高田瞽女に関する資料を展示している。開館は木曜から日曜まで。

展覧会開催記念として、入館料を割り引く相互割引券を両館で配布しているほか、斎藤の誕生日の7月6日は、斎藤のオリジナルグッズを数量限定でプレゼントする特別企画を両館(瞽女ミュージアム高田は特別開館)で実施する。