リュック盾に逃走阻止 窃盗犯逮捕に貢献した看護大生に感謝状

新潟県上越市内で今年3月に発生した窃盗事件で犯人逮捕に貢献したとして、上越警察署(梅田毅署長)は2022年6月10日、同市在住で県立看護大2年の𡧃野啓斗さん(19、新潟市出身)に感謝状を贈った。

梅田署長から感謝状を受け取った𡧃野さん(10日、上越警察署で)

今年3月3日夕方、一人買い物を済ませた𡧃野さんは帰宅しようと路上を歩いていたところ、私服警察官から追われ逃走する外国人の男に遭遇。警官からの要請もあり、𡧃野さんは男の前に立ちふさがり、とっさに背負っていたリュックサックを両手に持ち替え、走り迫ってくる男に向かって押し付けた。男は向きを変えて逃走を図ろうとしたが、警官に取り押さえられたという。その間、𡧃野さんは自らのスマートフォンを使って110番通報し、状況を説明するなどして犯人逮捕に貢献した。

𡧃野さんは当時を振り返り、「怖かったけれど、やらなければいけない使命感があった。バッグを盾に(男を)止めようと思った。すぐに行動ができ良かった」。

𡧃野さんは当時を振り返り「やらなければいけない使命感があった」と話した

母親が看護師ということや、病気がちだった幼少期、「たくさんの人から助けられた」と看護の道を志し、同大に入学。現在は学内で自治会長も務める。感謝状を受け取り「びっくりしている」と話し、「(看護師は)一分一秒の判断が必要になる。良いことができた。将来は困ったり、苦しんだりしている患者に寄り添っていきたい」と目を輝かせた。

同署によると、逃走していた男は別の男と共謀し、市内のコンビニエンスストアでサプリメントを盗んだベトナム人。男たちは県内をはじめ7県の商業施設で化粧品などを盗んでおり、犯行件数は51件、被害総額は約1千130万円に登っていた。梅田署長は𡧃野さんに「勇気のある行動がなかったら事件のスピード解決はなかった。協力要請に対し、反射的に行動を取り、逃げる被疑者を阻止してくれた。感謝している。ありがとうございます」と謝辞を述べた。