「今年の漢字」で知られる京都清水寺の森貫主が上越市で揮毫

毎年12月にその年の世相を漢字1文字で表す「今年の漢字」の揮毫(きごう)で知られる清水寺(京都市)の森清範貫主(81)が2022年5月29日、新潟県上越市新光町1の上越文化会館で講演した。集まった市民らの前で、「和」の文字を揮毫した=動画=

講演会は、明るい社会づくり運動上越ブロック(齋藤伸一会長)が「心を耕す」講演会として開催し、市民など約700人が参加した。講演に先立ち、森貫主がステージ上で「和」の1文字を大きな和紙に太い筆で一気に書いた。

「和」の漢字をステージで揮毫する森貫主

親しみやすい人柄の森貫主は、師走の風物詩となった今年の漢字の舞台裏も披露。漢字は楷書と行書で筆順などが変わる場合があるが、揮毫の様子が報道されると、「筆順が違う」「そんなところははねない」などと電話がかかってくるという。「厳しい言葉をいただいてます」と明るく話した。

講演のテーマは「言葉の力」。森貫主が「寺という字に手へんを付けると持つとなるので、寺に来る時は手ぶらできたらあかん。私が言うてるんやなくて漢字が言うてる」とユーモアを交えて話すと、会場からはどっと笑いが起きた。「寺から仏心を持って帰ると考えて。仏心とは命であり、生きているということ」と付け加えた。

講演する森貫主

また「言霊(ことだま)」という言葉になぞらえ、「言霊があるなら、言葉の器の文字にも文字霊(もじだま)があると思う。文字は符号ではない。付けてもらった名前には、親の魂がこもっているので大切にしたい」と語った。