トキ鉄運賃2割値上げ方針 コロナ禍、人口減少、設備老朽で経営悪化

新潟県上越市のえちごトキめき鉄道(鳥塚亮社長)は2022年4月14日、2025年4月に運賃を20%値上げする方針を明らかにした。値上げは開業5年目の2020年4月に続く2度目で、コロナ禍や人口減少、鉄道施設の維持補修・更新などで悪化した経営状況を改善するため、再度の値上げに踏み切る。

えちごトキめき鉄道

同社は2015年3月の北陸新幹線延伸と同時にJRから経営分離し開業。開業前から運賃を値上げしないと経営が成り立たないという見通しが示されていた。このため、鉄道施設の維持補修や更新に予想以上に費用がかかったとして、2020年4月に約30%の値上げを実施している。

同社によると、2021年3月までの開業から6年間で、収入は開業前の経営基本計画より単年度平均で2億5000万円上回るものの、支出は人件費や線路などの鉄道施設の維持補修費が想定以上にかさみ、計画を5億9000万円上回った。単年度平均で3億4000万円の赤字となっている。

今年3月にはコロナ禍の影響で経営が厳しいとして、県と上越、妙高、糸魚川の沿線3市から合計約9億円の経営支援を受けた。

同日、報道向け説明が行われた中期経営計画によると、2021年度からの5年間は経営基本計画では合計約4億4000万円の利益を見込んでいたが、実際は大きく乖離し計約8億1700万円の減益となると試算。開業時に約52億円あった資金残高は、今後予定される大規模設備投資の変電所更新を全額公的補助で実施したとしても、2025年度末には7億2500万円にまで減少すると予想している。

鳥塚亮社長は運賃の再値上げについて、「会社の経営を継続していくために必要だと、切にお願いしご理解をいただくしかない」と話した。今後、沿線3市に対し、値上げへの理解を求めていく。

また来年度からは乗客が少ない日中の時間帯を中心に、列車の運行本数の削減も行う方針。経営の立て直しのため、人件費や経費削減のほか、大規模設備投資に必要な公的支援スキームの構築に向け、県や沿線3市と協議するとしている。

▽えちごトキめき鉄道の中期経営計画(2021〜2025年度) (PDFファイル/788.5 kB)

関連記事