IT企業「テラスカイ」上越市で農福連携 障害者雇用し野菜栽培

新潟県上越市にサテライトオフィスを構える東京のIT企業、テラスカイ(東京都中央区、佐藤秀哉社長)は、上越市内で新たに障害者を雇用し葉物野菜などを生産する農福連携事業をスタートさせた。農業指導は、業務提携した上越地域の障害者が農業や加工品製造に従事する一般社団法人「土の香工房」(同市丸山新田、早津薫代表理事)が行う。

中川幹太上越市長(右)も同席し農福連携事業を発表した佐藤社長(中央)と早津代表理事

企業向けクラウド関連サービスを手がけるテラスカイは、妙高市出身の佐藤社長が2006年に創業。上越市などと共同提案したサテライトオフィスの設置事業が総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」に採択され、2017年に同市本町6の町家を改修してサテライトオフィスを開設した。現在はUターン5人、Iターン1人、現地採用3人の社員が在籍し、同社のソフトウェア開発を担っている。

土の香工房は早津代表が2011年に農水産物乾燥加工施設として個人創業。現在は一般社団法人として、就労継続支援A型事業所「ソーシャルファーム ドリーと緑の風」を運営し、農業や加工品製造、販売を行っている。

農福連携は、テラスカイによる障害者の雇用創出や地域貢献、SDGs(持続可能な開発目標)事業の一環。上越地域の障害者3人と管理者1人を採用し、土の香工房の農業指導を受けながら、ハーブや葉物野菜を栽培する。収穫した野菜は東京の本社の食堂で使用するほか、生産量が増えれば社員の家庭にも提供する予定。2030年には障害者雇用を40人以上に増やし、上越の農産物や加工品を東京や同社の各支社などの配送する計画だ。

テラスカイの上越サテライトオフィス(上越市本町6)

2022年5月11日に開かれた記者発表で早津代表理事は「東京の企業との新しい農福連携。上越で採用された社員が作る野菜を、東京の社員に食べていただけることは大変うれしい」と話した。

佐藤社長は、東京証券取引所のプライム市場上場企業としての社会貢献の必要性を強調。「社員の80%を占めるエンジニアの、特に若い人は社会貢献の意識が強い。取り組みで社員の会社に対する帰属意識を高め、辞めないで働き続けるモチベーションになれたら。上越地域の発展にも寄与したい」と語った。

▽テラスカイ https://www.terrasky.co.jp/
▽土の香工房 https://tsuchinokakoubou.org/

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