「見込み、判断甘かった」 佐渡汽船社長があかね売却方針を陳謝  上越市議会参考人招致

佐渡汽船が小木―直江津航路の高速カーフェリー「あかね」の売却方針を示している問題で、上越市議会は2020年7月6日、文教経済常任委員会に尾崎弘明社長ら経営陣を参考人招致した。尾崎社長は「上越市、佐渡市、新潟県から多額のご支援を頂き建造した船舶を6年目にして手放さなければならず、大変申し訳なくおわび申し上げる」と陳謝した。

上越市議会の参考人招致で説明する佐渡汽船の尾崎社長(右) DSC_3238

同社は2015年に導入した「あかね」を売却して高速旅客船のジェットフォイルを新たに導入することで、年間10億円の赤字を4億円削減できるとして、上越市などに同意を求めている。

参考人招致では、出席予定だったあかね導入時の社長の小川健代表取締役会長は、急きょ体調不良のため欠席。尾崎社長らが、あかね導入時の船種選定や売却方針に至った経緯、同社の経営状況について説明した。

導入時の計画に比べて、旅客が減少し、修繕費、燃料費がかさみ赤字が膨らんだことについて尾崎社長は「判断が甘かった。甘く見ていたと言われてもしかたがない」と話した。

あかねの不評を招く原因となった特有の揺れがあるカタマラン(双胴船)を選んだ理由について、港内のうねりに対し安定性に優れていることや、国内外で運航実績があり国内での部品交換などのサポート体制が充実していること、北陸新幹線開業に合わせた引き渡しが可能であったためと説明した。尾崎社長は「揺れの認識はあったが、船酔いする客が増える状況になるとは想定できなかった」と釈明した。

一方、同社は、あかねから切り替える方針のジェットフォイルは、年間8000万円程度のリース契約で導入し、運航期間は現在の3月から11月中旬を、4月下旬から10月に短縮する方針も示した。

上越市、佐渡市は問題の検証なしに売却に同意しない方針を明らかにしている。同社は9月中の手続き開始を目指しており、今後、県を含む4者協議などで交渉が進められる見通し。

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