新潟県上越市は、市内の風力発電の解体撤去を2021年8月から始めた。4基あるうち、「みなと風車公園」の1号機と「三の輪台いこいの広場」の2、3号機の計3基を11月末までに撤去する。いずれも約20年前、地球環境問題や再生可能エネルギーの意識啓発を目的に全国でも先駆け的に設置されたが、耐用年数を迎え姿を消す。
撤去費用約1億5千万円
同市五智国分の三の輪台いこいの広場では9月2日、大型クレーン2台を使って、2号機のブレードが撤去された。長さ24.1mのブレードは3枚が一体となっていて、高さ45mのタワーの先端からゆっくりと外された。
同所には3号機も設置されていたが、8月中にタワーも含め全て解体撤去され、跡地は更地になっている。2001年に同市で初めて設置された、直江津港南ふ頭のみなと風車公園にある1号機も、9月中旬から撤去作業が行われる。撤去費用は3基合わせて約1億5000万円。
2020年度末で全4基発電停止
同市の風力発電はいずれも国の補助などを受けて2001〜2003年に設置され、高さ45~50m、出力600~750kw。自治体の環境行政をけん引したシンボル的存在だった。一方、冬の日本海側特有の落雷被害を頻繁に受け、長期の運転停止と修理を繰り返した。17年とされる施設の耐用年数を迎え、市は「所期の目的を達成した」として、2018年3月の1号機の運用停止を皮切りに2020年度末までに4基全てを停止した。
市内での風力発電事業の継続を目指して民間譲渡も検討したが、実現しなかった。市では「これまでの成果を検証し、再生可能エネルギーに関する新しい動きを見ながら、意識啓発の取り組みを続けていきたい」としている。
残る1基の撤去時期は未定
残る市内の風力発電は、名立区のうみてらす名立機。市環境保全課によると、国の補助金や予算の関係で撤去の時期は未定という。発電していなくても維持管理に年間約500万円がかかるほか、老朽化が進むと接続部分が錆び撤去作業が困難となる場合もあり、撤去に向けて関係機関との協議を進めることにしている。
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