昔ながらの木おけが看板となり登場 上越市の杉田味噌醸造場

新潟県上越市の高田本町商店街にある老舗みそ店「杉田味噌醸造場」(同市本町4)店頭に、みその発酵や熟成に使われてきた昔ながらの大きな「木おけ」が店の看板となってお目見えした。老朽化した木おけを活用したもので、同店は「初めて見る方がほとんどだと思う。自由に触ってほしい。(木おけが)商店街のランドマークになれば」と話している。

同店は木おけでのみそ作りの伝統を守ろうと、工場には9基の木おけがあり、このうち現在も6基が使用されている。中にはおけの継ぎ目からみそだまりが漏れたり、たがが緩んだりと、使用するには難しいものもあり、昨秋、約100年ぶりに1基を新調した。店近くのイレブンプラザ広場に新調した木おけを展示したところ、多くの人たちが関心を寄せたことなどから、古い木おけは廃棄せず、より多くの人の目に触れるよう、店頭での設置計画が進んだ。

このほど看板代わりに店頭に設置された木おけ
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今回、店頭に設置されたおけは前半分のみが残るようにカットされ、台座に乗せた。高さ170cmを超えるスギの木おけで、江戸時代のもの。同店ではみそ作りで100年以上使用してきた。バラバラにならないようビス留めや転倒防止のためチェーンで固定するなどし、おけの表面は昔ながらの風合いを残しながら塗装を施した。

設置後は珍しい展示に足を止めて眺める人や触れる人も多く、杉田貴子専務(47)は「職人が一生懸命に取り組んできたこれまでのみそ作りに対する思いを、全て受け止めてくれたおけ。工場から出ることのなかった貴重なものなので、ぜひ見てほしい」などと話している。