「あかね」補助金返還額は8月上旬決定 上越市 9月市議会に経営支援提案へ

佐渡汽船の小木―直江津航路に就航していた高速カーフェリー「あかね」の売却について、新潟県上越市は2021年7月12日、市議会文教経済常任委員会に報告した。あかね導入時に支出した同社への補助金の返還額は8月上旬に決定し、市議会9月定例会に返還額相当の経営支援を提案する方針。

あかねは6月にスペインの海運会社「FRSイベリア」に30億5000万円で売却が決まり、停泊中の直江津港で7月14日に引き渡される。佐渡汽船はあかねの売却益によって、建造時の借り入れ金の残債約25億円を返済するとともに、港への係留や船体検査などの経費を縮減し収支の改善につなげる。

14日に売却先に引き渡される小木―直江津航路に就航していた高速カーフェリー「あかね」 あかね(2021年5月)

あかねの建造費約60億円のうち、同市は約2億5000万円の補助金を交付している。市によると、売却決定を受けて8月上旬に返還額を決定し、市議会報告後に佐渡汽船に通知するという。合わせて、小木―直江津航路を維持するため、返還額相当額の経営支援を市議会9月定例会に提案する方針だ。

佐渡汽船は、新型コロナウイルスの影響もあり、2021年1〜3月期に16億4464万円の債務超過となるなど、経営状況は厳しい。議員からは、同社が全国民のワクチン接種が完了する見込みの来春には輸送需要がコロナ前と同水準に戻ると想定していることなどについて、「甘いのではないか」などの意見がでた。

同市の小田基史産業観光部長は「佐渡汽船の新たな経営改善計画によって、中長期的に小木―直江津航路を維持し経営の安定がなければ支援はできない。8月には一定程度の説明ができる状況になると考えている」と述べた。

佐渡汽船は収支改善のため昨年、小木―直江津航路に就航していたあかねの売却を決定し、同航路には今年4月29日から新潟―両津航路を運行していたジェットフォイル「ぎんが」が就航している。

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