妙高エリアのスキー場 コース外滑走で遭難したらいくらかかる?

2015年の正月三が日に新潟県湯沢町「かぐらスキー場」のコース外で男女3人が遭難し、救助された事故で、コース外滑走についての論議が高まっている。妙高市と同市のスキー場でつくる妙高市スキー場協議会は、スキー場に注意喚起の看板を立てコース外滑走をしないように呼び掛けるとともに、救助や捜索活動を行った場合に遭難者に請求することを申し合わせ、費用の基準を統一している。

コース外滑走禁止の看板(妙高杉ノ原スキー場)
看板s

妙高杉ノ原スキー場は、コース以外を管理区域外として滑走を禁止している。1992年からは16あるコースのうち、最上部のスーパージャイアントコースとスーパーモーグルコースを圧雪せず、コース内で新雪を楽しめるようにした。非圧雪エリアは年々増やしているという。スキーヤーやボーダーがコース外に出るのをパトロール隊が発見した場合、リフト券没収などの措置を取ることがあるが、ゲレンデが広いため発見しにくいのが実態。立て看板のほか、ゴンドラ内に注意書きを掲示して呼び掛けるなど、広報活動に力を入れている。

妙高杉ノ原スキー場のゴンドラ内の掲示(クリックすると拡大)
コンドラ掲示s

赤の背景に白や黄色の文字で書かれた注意書きは、注目度抜群。「コース外での救助活動はスキー場のサービス外になりますので、有料となります」と書いてあり、パトロールや後方支援は1人1時間1万円、スノーモービルは1時間3万円、雪上車は1時間5万円を請求すると明記されている。パトロール隊の岡田智之リーダーは「ゴンドラ内の掲示は7年前から行っているが、(湯沢の事故で)もう少し掲示を増やしたい」と話す。

遭難したら救助は有料——というのは決して脅しではない。

2014年の元日、池の平温泉スキー場のコース外で遭難した埼玉県のスノーボーダーは、警察や消防、地元の山岳会などの捜索により3日目に無事発見されたが、捜索費用として「300万円以上」(関係者の話)が請求された。

赤倉観光ホテルスキー場でも、2013年1月15日にあった遭難事故での請求額は「かなりの金額」と話す。「請求書を渡したが、電話番号を変えるなど、払ってもらえない場合も過去にあった。その点、外国の方は文化の違いもあるのか、自己責任ということを良く理解していて、素直に払ってもらえる」と話す。

長野県の野沢温泉村では2010年、コース外に出て遭難した場合、救助を受けた人に対し捜索経費の支払い義務を明確にした全国初の「スキー場安全条例」を制定した。最近は、同様の措置を取るスキー場が全国に広がっているという。

↓「野沢温泉スキー場安全条例」(PDF)
http://www.vill.nozawaonsen.nagano.jp/gov/004_01.pdf