閉館した古川屋旅館の絵も並ぶ「なおえつ展」

新潟県上越市西本町3のイトーヨーカドー直江津店エルマール専門店街で2012年3月5日、市内在住のイラストレーター、ひぐちキミヨさんの個展「なおえつ展」が始まった。直江津地区に現存しているレトロな建物を描いたイラスト18点が展示されており、今年1月末で閉館し、夏には取り壊される予定だという古川屋旅館(中央1)を描いた作品も並んでいる。会期は11日まで。

「香港」「ニューハルピン」「古川屋」など、レトロな建物のイラストが展示されている
hugukawa

すでに取り壊された旧直江津駅や、いかや旅館の懐かしい絵もあるが、荒川橋、旧直江津銀行、国分寺三重塔、中華料理の香港やニューハルピンなど、現存するレトロな建物が中心。古川屋旅館は今年1月に閉館したが、ひぐちさんは同館の古川永さんから「取り壊す前に描いてほしい」と頼まれたという。

1月末で閉館した古川屋旅館
heikan

同旅館は直江津郵便局の近くで約400年前に創業。松尾芭蕉が1689年(元禄2年)7月に「奥の細道」の旅で今町(直江津)を通った時に宿泊し、「文月や六日も常の夜には似ず」の句を詠んだという古い歴史を持つ。その後、信越線開通後の1901年(明治34年)、駅前に建てた支店が現在の古川屋である(「上越の歴史」「上越市史」などによる)。

ひぐちさんのイラストには、客を出迎える和服の女性とともに、落ち着きのある日本建築がやわらかなタッチで描かれている。著名な篆刻家、古川悟氏による旅館名の看板も味わいを深めている。