いわしや薬局のピョンちゃん 満身創痍でも現役

いわしや薬局の店頭に立つ「ピョンちゃん」
20100104pyon

上越市本町3のいわしや薬局で、エスエス製薬のウサギマスコット「ピョンちゃん」が卯年の2011年、満身創痍ながらも元気に店頭に立っている。

日本の製薬会社は50年以上前から店頭マスコットによる販売促進を盛んに行っており、エスエス製薬のウサギのほか、コルゲンコーワのカエル、佐藤製薬のゾウなどがある。エスエス製薬の「ピョンちゃん」は、道路交通法の規制強化などの理由で20年以上前に製造を中止しており、全国的にも現役で店頭に立っているのは数少ない。

雨のほか雪にもさらされる雪国では特に寿命が短く、上越市内から急速に姿を消した。同店のピョンちゃんは1985年(昭和60年)に完成した近代アーケードの下に設置され、雨に濡れたり、雪に埋もれたりすることがなかったため、寿命を保ったようだ。

2010年12月の強風で頭部に裂傷を負ったピョンちゃん
20110104sontyou

だが、切り株風の台座はぼろぼろで、右手が取れかかり、しっぽは損傷。さらに、昨年2010年12月3日の強風で遠くに飛ばされ、近所の人に助けられた。しかし、頭部に大きな裂傷を負い満身創痍の状態である。次の卯年(2023年)まで職務を全うするのは難しいかもしれない。

同店の店頭では、コルゲンコーワのマスコット「ケロちゃん」に挟まれた真ん中に立っている。「親に手を引かれるような小さな子供に人気で、よく触っているのを見ます。今もそれなりの宣伝効果はあるのでは」と話す。

エスエス製薬のサイト「ピョンちゃんの歩み」などによると、初代は1952年(昭和27年)年に誕生した。「因幡の白兎」の神話にちなんだもので、名前はまだなかった。ビニール製で空気を入れるのが薬局の日課だった。

1960年(昭和35年)に登場した2代目はゴム製で、招きウサギとして親しまれた。初代と同じく、赤いちゃんちゃんこを着ている。

1963年(昭和38年)に登場した3代目はポリエステル製で、卯年を記念して「ピョンちゃん」と命令された。一般公募された16万通の中から愛称が選ばれた。アンプルの瓶を抱えている。

1967年(昭和42年)に登場した4代目は、ウサギが月と縁があることから、台座はロケットの発射台。アメリカがアポロ計画で有人月面着陸に挑んでいた時代である。素材にABS樹脂を採用した。

1972年(昭和47年)に登場した5代目は、テレビ番組「サインはV」で流行したVサインを取り入れた「ラブ&ピース」ピョンちゃん。

1975年(昭和50年)に登場した6代目は、「躍進ピョンちゃん」。左手を突きあげて躍進をイメージしている。

1979年(昭和54年)に登場した7代目は、両手を挙げた「スーパーピョンちゃん」。いわしや薬局にあるもので、これが店頭マスコットの最後となった。道路交通法の規制強化などから、昭和末期に製造が中止された。

その後、店頭マスコットはなくなったが、現在は9代目(1997年~)のデザインでピンクとイエローの2バージョンがあり、CMや販促グッズなどに活躍している。



 エスエス製薬は香港で「日本白兔牌」として知られる。ドラッグストアには必ず並んでおり、ニキビ薬や便秘薬のCMがテレビで流れている。