大雪に見舞われた上越市の高田市街地で2011年2月3日、道路を車両通行止めにして屋根雪を下ろし、重機やトラックを使って運び出す「一斉雪下ろし」が始まった。青空が広がった絶好の日和となったが屋根の雪は固くて重く、住民は額に汗しながら作業を進めていた。
屋根の雪下ろしは民家が密集している町の中心部ほど大変だ。空き地がないため屋根雪を表通り側まで運ばなければならない家もある。町家は奥行きが長いので、運ぶのも大変だ。
こんなときに便利なのが雪樋である。上越地方では「トヨ」とか「スベリ」と呼んでいる。
雪を滑らせて効率よく運ぶ道具で、子供の滑り台のようなものだ。長さは2間(約3.6m)ほどで、何枚もつないで雪を流すこともできる。
トヨは普段、雁木の屋根裏などにしまっておく。冬が近づくと、人々はロウを塗るなど手入れをして準備をする。
トヨを使うことで、雪が当たって雁木の屋根を壊したり、電線や電話線が断線する心配も少なくなる。
昔ながらの木製のトヨもあるが、最近は鉄板を張ったものや、アルミ製のもの、合成樹脂の波板を張って使う人もいる。
2月3日に一斉雪下ろしが始まった東本町は、町家や雁木が残っている昔ながらの町。いたる所で雪下ろしにトヨを使っている市民の姿が見られた。