北陸、能登の廃止で、直江津駅に「撮り鉄」殺到

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週末は15人以上集まる

3月13日のJRのダイヤ改定で、上野―金沢間を結んできた寝台特急「北陸」と急行「能登」は廃止されることになった。JR直江津駅では深夜0時30分すぎに「北陸」と「能登」が相次いで停車することから、デジタルカメラやムービーカメラを持った鉄道ファンが日増しに増えている。

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直江津駅2番ホームに停車する「北陸」と「能登」の最後の姿を撮影しようと、19日は6人、20日は15人以上が詰めかけた。彼らはほとんどが、列車の到着ホームと時刻を知らせる電光掲示板も撮影していた。たしかに、この表示は3月13日を過ぎると、見ることができないのだ。

いわゆる「撮り鉄」「録り鉄」と称される人たちだが、反対側の3番ホームに三脚を立てて、カメラやビデオで撮影していた。彼らは真剣勝負のようで、ホームで何人かに話しかけたのだが、はぐらかされてしまった。

この2本の列車は上りだけ直江津駅に停車する。下りは通過してしまう。0時30分ごろに直江津発の列車で東京に向かう需要はないと思う。運転手の交代のためかもしれない。直江津駅から乗る人はわずかだった。ただ、この列車を使うと、東京へ日帰りしたい場合、時間をかなり有効に使えると思う。

ホームで待っていた運転手さんに話しかけたら、直江津で交代して、長岡でまた交代するのだという。

2月16日に大阪で鉄道ファンが線路内に立ち入ったため列車を止める騒ぎがあり、19本の列車が運休する事件があったばかり。それで、運転手さんに「撮影する鉄道ファンに気を遣いませんか」と聞いたら、「最近はイベント列車が多く、今は慣れました」と話していた。

ストロボはルール違反?

ここに掲載する写真を撮るためストロボをたいたら、新潟市から来たという鉄道ファンの一人に「ストロボはルール違反です。やめてください」と言われた。そんなルールは初めて聞いた。ルール違反を言うなら、ホームに三脚を立てるのもルール違反ではないだろうか。

直江津駅のホームは暗いので、手持ちではストロボを使わないと、写真が撮れない。たぶん「撮り鉄」の人は、高価な明るいレンズを付けているのだろう。

乗客少なく、老朽化も原因

さて、「北陸」と「能登」はともに1975年に運転を始めたが、80年代後半から乗客が減少してきた。今ではピーク時の30~45%の利用しかなく、車両の老朽化もあって廃止が決まったという。たしかに車両の中を見ても、乗客は非常に少なかった。高速道路の1000円割引の影響もあるだろう。

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ボンネット型の「急行 能登」

さて20日であるが、海岸沿いだけに降雪があり、一時吹雪となった。その天候の中、0時31分直江津駅発の、急行能登が2番線に入ってきた。丸い形をしたボンネット型の先頭車両が愛らしく、懐かしい。クリーム色にエンジ模様が入ったツートンカラーの国鉄色489系電車による9両編成である。

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日本海の荒波をデザインしたヘッドマークは、誇らしげに大きい。

わずかな停車時間の間に車両から降りて、写真撮影する人がいた。乗車を趣味とする「乗り鉄」なのだろうが、当然写真も撮る。

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ブルートレイン「寝台特急 北陸」

能登がホームを出ると、入れ違いに0時40分発の寝台特急「北陸」が入ってきた。

エンジ色のEF81型電気機関車が、寝台車(ブルートレイン)を牽引している。なかなか力強い車体である。

この路線の走行距離は517.4 kmにしかすぎず、寝台専用の特急では最短距離の列車だという。

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機関車のヘッドマークは親不知の断崖を図案化したものだという。寝台車にも同様のテールマークが付いていた。

そういえば、西村京太郎の推理小説に「寝台特急『北陸』殺人事件」というのがあったっけ。

北陸本線の金沢駅では「能登」と「北陸」がホームに並ぶそうだ。それで、週末には50人以上が集まるため、ホームに撮影スポットを設置したという。

直江津駅も、3月13日の最後の日に向け、日増しに鉄道ファンが増えていくことだろう。

=川村記者=