教育長も読んだ上越市の将来展望の書とは?

山岸市議会議長が消防出初式で紹介した本

20100111tetugaku

2010年1月10日に上越文化会館で行われた上越市の消防出初式で、祝辞に立った来賓の山岸行則市議会議長が1冊の本を紹介した。

その本というのは、2008年12月に発売された「人類を救う哲学」。著者は日本を代表する哲学者の梅原猛氏と、同じく経営者の京セラ名誉会長の稲森和夫氏。経済発展を善とする進歩主義に警鐘を鳴らし、人類の責任とあるべき姿について両者が思いを著した対談集。

発行元のPHP研究所では、「核兵器開発、民族紛争、宗教対立、資源枯渇、食料危機、そして世界金融恐慌……われわれ人類に未来はあるのか? 豊かさを追求してきた現代文明ではもはや世界は立ち行かなくなっているのではないか? そもそも人類はなぜここまで傲慢になってしまったのか? そのような問題意識のもと、日本を代表する哲学者と経営者が、いまこそ人類は英知を結集して新しい人類共通の哲学をつくるべきであると提案する書」と解説している。

両氏はこれまでにも「哲学への回帰」(1995年)、「新しい哲学を語る」(2002年)の2度、対談の書を出している。同書は3冊目となる。

このままではこの地域は100年もたない

山岸氏は自分なりに同書を咀嚼し、祝辞の中で「このままの社会では、この地域は100年もたない。地域の内側と外側から崩壊してしまう。外側というのはCO2などの地球環境問題で、内側というのは自己中心的な考え方」と話した。

その上で特に、現代は他人を思いやる心を失っていることを憂い、消防団を「日本のボランティア精神の代表」として、その存在意義を強調した。

中野教育長も読んでいた

山岸氏に「議員として参考になると思って読んだのか」と聞いたところ、「議員としてというより、時代を見るポイントになる本」と述べた。

同書は昨年春に読んだもので、「(中野敏明)教育長も読んでいる」と言う。

四六判、229ページ、1300円。 (川村)