上越市が園児の散歩コース緊急点検 大津市の死傷事故受け 市立保育園全園で実施

2019年5月8日に滋賀県大津市で散歩中の保育園児の列に車が突っ込み、2人が死亡した事故を受け、新潟県上越市は5月20日、市立保育園の散歩コースの緊急点検を始めた。同市春日山町1の春日保育園(柳澤さかえ園長)では、保育士のほか市の地域安全支援員などが散歩コースを歩いて危険箇所などを再確認した。市では6月5日までに40の市立保育園全園で点検を実施する。

園児の散歩コースを点検する保育士や市の地域安全支援員ら
散歩コース11

緊急点検では、柳澤園長ほか保育士、市内の中学校区ごとに配置され交通安全教育などを担当する市の地域安全支援員や市市民安全課の交通安全専門官など市職員2人の計5人が、2つの散歩コースを歩いた。歩道の狭い場所や歩道脇に側溝がある場所、横断歩道の白線が消えている箇所などを確認。常に交通量の多い幹線道路の交差点は、横断する際の待機場所の有無や広さなどを確認した。

同園の園児数は231人で市立保育園で最も多い。1学年2クラスで50〜60人の園児が在籍し、週3回行っている散歩は大人数での移動となる。このため今年4月に保育士による散歩コースの下見を行い、今後も月1回実施予定。「した見よし、あん全確認、わすれずに、せき任もって行ってきます」の頭文字からなる合い言葉「しあわせ」を園玄関に掲示し、チェックリストなどを使って安全確認を行っているという。

柳澤園長は「散歩は丈夫な体を作り、自然に親しみ、交通安全を学ぶ大切な機会」とした上で、「大津の事故のように車に突っ込まれたらどうしようもないが、職員が全力で子どもたちを守らなければならない。日によって状況は違うので、緊張感を持って気を引き締めていきたい」と話した。

市の地域安全支援員で県警OBの佐藤昭さん(71)は「交差点が一番危険。しっかり止まり、子どもたちを道路から離した上で、特に保育士には道路の状況をよく見てほしい」とアドバイスしていた。

市では、私立保育園に対しても必要に応じた散歩コースの点検を依頼していくという。