新潟県上越市出身の日本画家、小林古径(1883〜1957)の代表作で重要文化財の「髪」や「孔雀(くじゃく)」などを展示した「永青文庫所蔵 近代日本画名品展」が、2021年10月2日から同市の高田城址公園内にある小林古径記念美術館で開かれる。「髪」の同市での公開は20年ぶり、「孔雀」は34年ぶりとなる。
上越市市制施行50周年と同館の開館1周年を記念した企画展で、同館と新潟日報社主催。古径を物心両面で支えた旧熊本藩主細川家16代当主の細川護立(細川護煕元首相の祖父)が創設した、東京都文京区の「永青文庫」が所蔵する日本画の名作31点を展示する。
古径の1931年(昭和6年)作の「髪」は、断髪の着物姿の女性が、上半身裸体の女性の長い黒髪をくしですく様子を描いている。生え際まで一本一本、繊細に描かれた髪や女性の輪郭線には気品があり、「線の美しさ」で知られる古径ならではの作品。二曲一隻のびょうぶに描かれた「孔雀」は、大きく広げた羽と色の緑色が印象的だ。いずれも展示は10月24日まで。
このほか巨匠、横山大観の「山窓無月」「野の花」、下村観山の「女」などの作品が並ぶ。かつて細川家が所有していた妙高市の赤倉温泉の別荘の杉戸に、名だたる日本画家12人が1羽ずつ鳥の絵を描いた「鳥尽(とりづくし)」は県内初公開。10月26日からの後期展では、古径の「鶴と七面鳥」、昨年重要文化財となった松岡映丘の「室君」を展示する。
笹川修一副館長は「古径の貴重な作品が見られる機会」と話している。
会期は11月23日まで。午前9時から午後5時までで、庭園をライトアップする11月9〜23日は午後7時まで。月曜休館(11月22日除く)。入館料は一般700円、小中高生350円、市内の小中学生は無料。