「渡るよサイン」で安全に 43年ぶりに手上げ横断が交通マナー化

新潟県警では、道路を渡る歩行者の安全を守ろうと、手を上げるなどの「渡るよサイン」で運転者に横断の意思を伝えるよう呼び掛けている。秋の全国交通安全運動が始まった2021年9月21日、上越警察署は上越市大手町の交差点で街頭指導を実施し、通学する小中高生らに「手を上げて渡ってね」などと声を掛けた。

街頭指導を受けて手を上げて道路を渡る小学生(2021年9月21日午前8時前)
20210921渡るよサインTJ

警察庁が道交法に基づき交通マナーをまとめた「交通の方法に関する教則」が今年4月に改定され、信号機のない場所で横断する際、手を上げるなどして「横断する意思を明確に伝える」ことが歩行者の心得として追加された。手上げ横断は元々明記されていたが1978年の改定で消えており、今回43年ぶりに再びマナー化された。

これを受け、県警では横断意思の伝え方として、手を高く上げるほか、目で合図を送る、顔や体を運転者に向ける、帽子を脱いで会釈するなどの例を挙げ、「渡るよサイン」と名付けて周知を図っている。

県警の「渡るよサイン」広報用ちらし
ちらし

この日の街頭指導は、上越署や交通機動隊上越方面隊、上越交通安全協会などから約20人が集まり、付近に学校が多い大手町交差点など4か所で実施。通学する児童生徒らに手上げ横断を呼び掛けたほか、一緒に手を上げて渡るなどしてサインの実践を促した。

信号機のない道路の横断を巡っては、運転者に義務付けられている横断歩道での一時停止をしない車の多さが問題となっている。日本自動車連盟(JAF)による2020年の調査では、県内の一時停止率は全国平均の21.3%は上回るものの、半数以下の49.4%にとどまる。

同署交通課では「子供はもちろん、大人も積極的に『渡るよサイン』で横断の意思を明確にして渡ってほしい。ドライバーの皆さんも、横断歩道では渡ろうとする歩行者がいないかどうか、積極的に探す意識を持ってもらえたら」と話している。