新潟県上越市の立水族博物館「うみがたり」のシロイルカ2頭が全滅するなど、オープンから2年で6頭のうち4頭のイルカが死んだ問題で、上越市教育委員会は2020年7月20日、大学教授など学術的な専門家による検証委員会を設置することを明らかにした。水槽などの施設や水質、飼育方法など各方面から検証を行う。
市議会文教経済常任委員協議会で市教委が4頭連続死の経過と今後について説明した。柳澤祐人教育部長は冒頭、「多くの市民の皆様にご心配をおかけし、おわび申し上げる」と陳謝した。今月3日に死んだシロイルカのソーリャ(メス)は、病理解剖の結果、細菌によって筋肉組織に起こる感染症である「ガス壊疽」が確認されたが詳細は病理検査中。また今年5月に死んだシロイルカのリーヤ(メス)は尿毒症、昨年3月までに死んだバンドウイルカ2頭はそれぞれ、感染性肺炎、腎炎と膵炎が死亡原因だった。4頭のイルカの購入費用は合計約6400万円。
イルカの連続死について報告された市議会文教経済常任委員協議会
また市教委は、バンドウイルカ2頭の死を受けて2019年5月に他の水族館の館長など専門家2人が行った検証結果を初めて示し、施設や設備に問題はなかったと報告した。一方、この検証ではイルカの飼育方法について、知見と実績のある指定管理者の横浜八景島が責任を持って行っているなどとして、「検証対象にならない」との回答だったという。
今回設置する検証委員会は、施設と水質、飼育の3分野で、それぞれ大学教授など第一人者の専門家1〜2人が担当し、あらゆる方面から検証を行うとしている。柳澤部長は「すべての面で総ざらいする」と述べた。市教委では10月から11月頃に検証結果を得たいとしている。
議員からは、プールの広さやストレスを懸念する声のほか、前回の検証結果が議会に報告されていなかったことを問題視する声があがった。
早川義裕教育長は「短期間に4頭が死ぬということは何かしら原因があると考えるのが筋。徹底的に検証する。水族博物館は教育施設でもあり、命の尊さや環境保全などについて子どもたちが学ぶ施設にするための検証を続けていく」と述べた。
市教委は、今後の鯨類の補充については検証結果を踏まえ、指定管理者と協議するとしている。
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