上越市の介護施設でオンライン面会開始 「顔を見て安心して」

新潟県上越市三和区井ノ口の特別養護老人ホーム「三和愛宕の園」で2020年5月18日、タブレット端末を使用したオンライン面会が初めて行われた。新型コロナウイルスの感染予防のため、入所者と家族が面会できない状況が続く中、画面越しに互いに顔を見て言葉を交わすことで、少しでも安心してもらおうという取り組みだ。

同施設では、入所者約110人の感染予防のため、3月13日から家族らが居室を訪問して面会することを禁止している。入所者の家族から「ビデオ会議システムなどを使ったらいいのでは」との提案を受け、職員らでテストをするなどし、準備したという。

この日、同市三和区岡田に住む土肥久子さん(72)が施設を訪問し、入所する夫の康男さん(70)とオンライン面会を行った。久子さんは1階玄関ロビーで、康男さんは2階のリビングで、それぞれタブレット端末で無料通話アプリ「LINE」を利用し、画面越しに顔を合わせた。

施設職員のサポートで入所している夫と画面越しに話す妻の久子さん(左)
オンライン面会6

同日は康男さんの70歳の誕生日で、久子さんは「お父さん良かったね」「70歳だよ。元気出さなくちゃ」などと声をかけて古希を祝い、施設が用意したケーキを食べる康男さんの様子を見守った。

約20分間の面会を終え久子さんは、「施設の皆さんのおかげでしっかり話せた。私の顔を見ると(康男さんが)元気が出るとよく話を聞いていて、今日もうなずいたりすごく調子が良かった」とほっとした様子だった。

「70歳だよ」と夫に古希を祝う言葉をかける久子さん
オンライン面会表紙2

丸山裕考施設長(42)は、「本当は(面会を)どうぞと言いたいが、リスクが高い人が多いので、まだできない。少しでも顔を見る機会を作って、安心してもらえれば」と話していた。Wi-Fi環境やタブレット端末などの必要な機器がそろっていれば、家族は自宅からでも入所者とオンライン面会をすることができる。

厚生労働省は5月15日付で、新型コロナ対策として、家族と入所者が面会ができない高齢者施設ではビデオ通話などを使ったオンライン面会を推奨する方針を自治体に通知している。