上越北消防署を併設した新しい上越地域消防本部の建設工事安全祈願祭が2018年4月13日、建設予定地の新潟県上越市藤野新田地内で開かれた。上越地域の新しい防災拠点として、高機能な消防指令システムを導入するほか、実際の災害現場を再現した訓練場や、市民の体験型訓練スペースなどを設ける。2019年12月の完成と2020年3月の運用開始を目指す。
同市北城町1の上越南消防署に併設されている現在の消防本部は、大規模災害などに対応する車両や部隊の収容能力が限界に達している。また1976年に建設された同市春日新田の上越北消防署は老朽化が目立つことから、北消防署を統合した新消防本部を建設することになった。
建設場所は上越警察署の北西約400mの地点。上新バイパスや北陸自動車道上越インターチェンジにほど近く、5階建ての庁舎棟と3棟の訓練棟を建設する。建物は免震構造で、災害時にも業務が行えるよう貯水設備や発電機などを設置する。
庁舎棟3階に北消防署、4階に消防本部が入る。2階部分には市民が消防車両を見学できるピーアールスペースを設ける。
訓練棟は地上5階建ての1棟、1階建ての2棟。5階建ての訓練棟は高層ビルを意識した造りとすることで、マンションなどでの火災を想定した訓練で活用可能。1階建て訓練棟のうち1棟の外壁には高さ7m、傾斜45度の壁を作り、石などを散りばめて山の斜面を再現し、山岳救助訓練などに使用する。市民が濃煙や消火活動などを体験できる訓練スペースも設置される。敷地内にはヘリポートも用意する。新庁舎の運用開始後に、北消防署は解体される予定。総事業費は約57億2000万円。
この日の安全祈願祭には、消防関係者ら約60人が出席。上越地域消防事務組合管理者の村山秀幸上越市長や副管理者の入村明妙高市長によるくわ入れなどの神事を行った。
村山秀幸市長は「私たちはこれまで幾多の震災や度重なる水害を経験してきた。新しい消防庁舎はこのような経験に基づく多くの教訓を踏まえ、災害時にも活動できる機能を備えている。新庁舎を各地の災害に立ち向かう拠点とし、次の50年、100年に向けてさらなる消防力の強化に努めていく」と語った。伊藤公雄消防長は「(建設予定地は)高速道路から近い機動性の高い場所で、防災拠点施設としてふさわしい。2年後の完成が待ち遠しい」と話していた。