議員定数や報酬などの見直しを検討していた上越市議会の検討委員会は2019年9月4日、最終的な検討結果として、現在32の議員定数と月額44万800円の議員報酬を現状維持とすることを決めた。議員のなり手不足対策の一つとして、議長直属の検討委を設置し1年をかけて検討したが、結局見直しには至らなかった。
なり手不足背景に検討開始
同市議会は、若者や女性らが議員に立候補しやすい環境について検討するなどの議会改革に取り組んでいる。2018年3月に同議会の「市議を目指しやすい環境整備検討会」がまとめた提言書では、身分や社会保障の不安定さや落選で失業する危険性があっても「4年に一度の選挙に挑戦しようとする人が安心できる状態」を掲げ、同規模自治体の中でも低い水準にある議員報酬の適正化に早急に取り組むべきとしていた。
これを受けて2018年8月に議長直属の「議員定数及び報酬等の在り方検討委員会」(江口修一委員長)が設置され、14回の会議や市民、経済団体との意見交換などを開催し検討を重ねていた。
「市民理解得られず」報酬増額断念
子育て世代の議員を中心に増額の意見があった報酬を現状維持としたのは、市民などとの意見交換で「議会や議員との距離があり、議員活動が見えない」との意見が多かったからで、「現段階では市民理解が得られない」と判断した。
定数についても「全国的に議員のなり手不足の対策や取り組みが行われており、議会を取り巻く今後の状況を見極める必要があるため」と変更を見送った。
変更は政活費の割合だけ
唯一、変更したのは政務活動費の個人と会派の割合。総額は維持して個人分を増額し、年額個人30万円会派30万円から、年額個人45万円会派15万円に変更した。変更には特別職報酬等審議会を経て条例改正が必要なことから、議長から市長に審議会への諮問を要請する。
議員のなり手不足は地方議会の喫緊の課題だ。対策の一つとしての定数と報酬の見直しは、2020年4月の次期市議会議員選挙を視野にしたものだったが、結果は政務活動費の個人と会派の割合変更のみにとどまった。
委員長「1年では時間足りない」
江口委員長は「1年では検討の時間が足りない」と話し、「市民を交えて議論したことが大事。議員の総意として一つにまとめられて良かった」と述べた。検討結果は27日に武藤正信議長に答申する予定。
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