高田藩士から浮世絵師に転身した楊洲周延の画業一堂に 上越市立歴史博物館で10月12日まで

高田藩士から浮世絵師となり、明治時代に活躍した楊洲周延(ようしゅう・ちかのぶ)の特別展が、新潟県上越市本城町の市立歴史博物館で開かれている。西南戦争の戦争絵や役者絵、文明開化で変化する社会を描いた開化絵、華やかな美人画など、幅広いジャンルで「明治」を描いた周延の多彩な画業を知ることができる。2026年10月12日まで。

役者絵や開化絵など周延の多彩なジャンルの浮世絵が並ぶ会場

楊洲周延(1838~1912、本名・橋本直義)は江戸詰めの高田藩士の嫡男として生まれ、歌川国芳や豊原国周ら歌川派の絵師に師事し、浮世絵を学んだ。一方で、戊辰戦争では他の高田藩士らとともに旧幕府軍として戦い、箱館戦争にも参戦。40歳の頃から浮世絵師として本格的に活動した。

同館では過去にも周延の展覧会を開催しているが、先祖が高田藩榊原家家臣で東京在住の村田正晴さんから約1200点の周延作品の寄贈を受けたことから、よりすぐりの150点を前期(〜8月23日)と後期(9月5日〜10月12日)に分けて展示する。

(上)なぎなたを持ち馬に乗って政府軍と戦う薩摩の女性たちを描いた戦争絵、(下)歌舞伎の演目を主題にした双六絵

周延の知名度を上げ、飛躍のきっかけとなった1877年(明治10年)の西南戦争の戦いの様子を描いた戦争絵は、自ら戊辰戦争に参戦した経験が生かされている。御料列車などが描かれた1872年(明治5年)の新橋―横浜間の鉄道開業式、オルガンやバイオリンを演奏し唱歌を歌うドレスを着た宮廷女官、サーカスの曲芸の天覧披露など文明開化を描いた色鮮やかな作品が目を引く。

オルガンやバイオリンを演奏し唱歌を歌う宮廷女官らを描いた開化絵

明治天皇と皇后や政府要人の前で行われたサーカス披露を描いた作品

南北朝時代から明治までの女性の髪型や装いを首から上の半身像で描いた「時代かがみ」は、全53枚のうち題名違いの1枚を除いた52枚を前期と後期で半数ずつ展示。美人画を得意とした周延の集大成とも言える作品群で、上部の画中画のコマ絵とともに時代ごとの風俗を表すほか、髪や眉、まつ毛の細部まで表現され、浮世絵の質の高さがうかがえる。

時代ごとに女性を描いた「時代かがみ」

近年、東京で周延の大規模な展覧会が開かれるなど注目されつつあるという。小川陽子学芸員は「2000点以上の作品を残しているが、画家として何かにこだわって描いているのではなく、浮世絵師として、さまざまな売れる絵を望む版元などの要望に応えられる技量があった。上越ゆかりの浮世絵師の存在を知ってもらいたい」と話した。

開館時間は午前9時〜午後5時。月曜と祝日の翌日は休館だが、8月10日と12日は開館する。