昇り竜のように上向きの新年に 妙高市平丸でえとのスゲ細工最盛期

新潟県妙高市平丸地区で2023年11月から、来年のえと「辰(たつ)」にちなんだ伝統工芸のスゲ細工作りが最盛期を迎えている。昇り竜をイメージしたデザインで「何事も上向きの年に」と願いを込め、作業が進められている。

妙高市平丸で最盛期を迎えているスゲ細工作り

雪深い山あいの同地区に伝わるスゲ細工は、1958年から農家が冬期の収入源として始めた。ピーク時には200人ほどが携わっていたが、高齢化などで作り手が少なくなり、現在は2015年に市民らが立ち上げたNPO法人「平丸スゲ細工保存会」が継承に取り組んでいる。

同NPOのメンバーは25人で、このうち作り手は4人。同地区でスゲの栽培から刈り取り、乾燥、選別など全て行う。

胴体、手足など異なる編み方で作り上げる

えとのスゲ細工の制作、販売は毎年恒例。辰にちなみ作っている竜は、緑色が残るよう日陰で乾燥させたスゲを使い、胴体や背中のうろこ部分、手足など異なる編み方で作り上げる。木の台座に取り付け、天に昇るような躍動感を表現した。手には水晶玉に見立てた木の玉を持たせた。

11月29日には同市上平丸の「スゲ細工創作館」で、同NPO理事長の柴野美佐代さん(61)を含め、3人が黙々と手を動かしていた。作業は年明け後も続き、注文数にもよるが60体ほどを制作予定だという。

柴野さんは「スゲ特有の色とつやが魅力で、色の変化も楽しめる。運気、景気、幸せも上昇する新年にしてほしい」と話している。

11月29日は3人が作業にあたった

辰のスゲ細工は木札付き、送料込みで2万2000円。同館は12月から冬期閉鎖するため、上越市板倉区釜塚の「スゲ細工資料館」で引き渡しも可能で、1000円引きとなる。見学もできるが事前に連絡が必要。注文、問い合わせは柴野さん090-3548-7370(午前9時〜午後8時)。

▽NPO法人平丸スゲ細工保存会フェイスブック