新潟県と地域経済活性化に向けた包括連携協定を結ぶ楽天グループ(東京都)の社員らが2023年10月7日、上越市板倉区を訪れ稲刈りを体験した。体験を通じて同市の産業への理解を深め、今後の地域課題解決に向けたプロジェクトなどに生かしていく。
同社は楽天市場や楽天トラベルなど70を超えるサービスと膨大な蓄積データを生かし、全国47自治体と包括連携協定を結び地域創生事業に取り組んでいる。2021年に、関係人口創出などを図る連携協定を新潟県と第四北越フィナンシャルグループの3者で結び、2022年には長岡市とも締結。同社のふるさと納税サイトへの返礼品掲載や同社主宰イベントでの県内産品のPR、県内事業者や行政職員を対象にしたマーケティングなどの講習会開催などを行ってきた。
今回は、長岡市だけでなく県内各地に同社との協力を広げようと県が上越市に声を掛けた。社員が実際に稲刈りを体験することで、米や日本酒の販促や農業体験ツアーなど、今後展開するプロジェクトの検討に役立てるねらいだ。
参加したのは、同社上級執行役員の木村美樹さん(50)ら、地域創生事業に取り組む社員を中心に、その家族を含め14人。県や市、第四北越からも参加し、地元農家の田んぼ約400平方mに実るコシヒカリを鎌で手刈りしていった。農家の指導の下、悪戦苦闘しながらも稲の束をわらで縛り、昔ながらのはさがけも行った。
木村さんは「達成感があり楽しかった」と語り、上越市について「食べ物がおいしく自然豊富で伝統工芸品も素晴らしいので、どう全国に伝えていけるか考えていた。市と何ができるか、まずは県との協定の枠組みの中で考えていけたら」と話した。
県産業労働部の金井健一部長(58)は「上越は観光、デジタル、産業と特色ある地域。県としても楽天と色々なモデルを作り、取り組みながら盛り上がってくれれば」と話していた。