モットーは終生飼育 上越市「あにまるシェルターひだまり」が資金や物資の協力呼び掛け

一匹でも多くの命を救いたい――。猫や犬の飼育放棄をはじめ、さまざまな事情から行き場のなくなった猫や犬を保護、飼育する動物愛護団体「あにまるシェルターひだまり」(新潟県上越市板倉区)は発足から今年で丸2年を迎える。団体は動物の世話をするボランティアスタッフをはじめ、活動資金や物資の不足に直面しており、協力者を募っている。

あにまるシェルターひだまりの代表、岡田さん

代表を務める妙高市出身の岡田紀音さん(30)は過去、大病を患い、心身ともにつらい時期を過ごしていた。当時、飼っていたペットから精神的に助けられたことや行き場を失った動物たちの殺処分の現状などを知ったことから、動物の愛護活動をスタートさせた。現在は団体が管理する一軒家「ひだまりハウス」で猫49匹、犬4匹の計53匹が、岡田さんと共に生活している。

クラウドファンディングで一軒家を購入

活動当初はペットと入居可能な板倉区のアパートを借り、保護活動、世話をしていたが、保護した猫の数が増えて手狭になったことから、猫や犬が広いスペースで過ごせるよう、一軒家への引っ越しを検討。縁あって空き家のオーナーとの出会いもあり、一軒家購入のためのクラウドファンディングを行ったところ、159万円が集まった。今年4月に2階建て、7DKの一軒家に動物と共に引っ越した。部屋数が増えたことで、動物たちが快適に過ごせるようになったほか、感染症の猫を隔離できる専用の部屋を作ることもできたという。

クラウドファンディングで購入した「ひだまりハウス」

モットーは「命を見捨てない」

猫と犬が過ごす部屋の衛生環境を保つことを第一に、一匹一匹にしっかりと気を配り、日頃の健康チェックなども欠かさない。50匹を超える猫や犬の給餌、散歩といった日頃の世話は、岡田さんのほか、ボランティアスタッフが行うが、スタッフは各自仕事をしており、活動への参加は休日など、空いた時間に限られる。岡田さんが1人で丸一日世話をすることもあるが、「(猫や犬が)過ごす場所を奇麗にすること、こまめなブラッシング、顔を拭いてあげることは重労働ですが、猫、犬が快適に過ごせることが一番大切。53匹の世話は本当に大変です。お金もかかるし、時間も足りない。でも、命を救うためにやるしかないんです」。団体のモットーは「終生飼育」「命を見捨てない」こと。保護した動物は団体で最後までしっかりと看取るという。

一匹一匹にしっかりと気を配る

「命の大切さ」伝える講演を小学校で実施

動物の保護や世話以外にも、動物愛護の普及、啓発活動にも力を入れており、市内の小学校からの依頼で命の大切さを伝える講演を行ったこともある。講演では「最後まで責任を持てない人は猫や犬を飼ったり、(野良猫に)餌付けをしたりしないでほしい」と訴える。

SNSで猫、犬の日常や団体の活動発信

団体の認知度を上げ、活動を広く知ってもらおうと、SNSで活動内容や施設紹介、猫や犬たちの普段の様子をライブ発信することも日課。「ありのままを見てもらい、多くの方から活動や現状を知ってもらえれば」と岡田さん。地道な発信を続けてきた結果、SNSを通して県内外からペットシーツやえさといった物資が届いたり、寄付を申し出たりする人もいる。また、地元企業が、ちらしや募金箱を設置するなど協力の輪も少しずつ広がってきた。遠方から継続してボランティアとして参加するスタッフの存在にも助けられ、「支援者の方々がいてくれるからここまでできる。皆さんのサポートに頭が上がらない。本当にありがたいです」と感謝する。

猫と犬が過ごす環境を念入りに掃除するボランティアスタッフ

一方で、猫と犬の日常の世話で使う日用品の購入費用、通院、検査費用などの医療費など活動には資金が必要だが、50匹以上を飼育するには「資金が不足し、とても厳しい現状」とも述べ、「猫と犬のために皆さんからの協力をぜひお願いしたい」と訴えている。

団体への問い合わせは岡田さん080‐2298‐6934

animal-hidamari.com