捕虜らの鎮魂と世界平和願う「平和の集い」 3年ぶり灯ろう行進も

上越日豪協会(関勝代表)は2022年8月11日、新潟県上越市川原町の直江津捕虜収容所跡地である平和記念公園で、「第28回平和の集い」を開いた。新型コロナウイルスの影響で中止されていた灯ろう行進や歌と踊りの披露が3年ぶりに行われ、戦争犠牲者の鎮魂と、ロシアによるウクライナ侵攻で遠のく世界平和の実現を願った。

平和記念公園で開かれた平和の集い

直江津捕虜収容所では、太平洋戦争でオーストラリア兵捕虜が収容され、62人が亡くなったほか、終戦後に職員8人が戦犯として処刑された。同協会ではこの悲劇を風化させまいと、平和の集いをはじめ、同公園を拠点とした平和学習会やオーストラリアとの交流を長年続けている。

集いには市民や協会員ら約70人が参加。収容所に関わる犠牲者に対して黙とうを捧げたほか、収容所職員が処刑前夜に歌ったとされる「佐渡おけさ」などが市民らによって披露された。

黙とうを捧げる参加者

在日オーストラリア大使館から出席した大使館付副武官のアラナ・ドブソン海軍少佐は「80年前にここで始まったことは収容から和解、平和、友情へと発展した。平和に向け取り組み続けることで、小さなコミュニティーでも前向きな一歩を踏み出せると、世界中に知れ渡ることを願っている」とあいさつした。

最後に参加者による灯ろう行進が行われ、市内の小中学生らが「世界平和」「戦争をしないで」などと記した灯ろうを手に、公園を一周した。

灯ろうを手に公園を一周した

関代表(80)は、ロシアによるウクライナ侵攻に触れ、「一刻も早く戦争が終わることを願っている」と話し、「悲劇が起きたことを伝えないと忘れられてしまう。(協会に)若い人にも入ってもらいたい」と訴えた。