あさま山荘事件“難局打開の鉄球”にコロナ禍などの克服を祈願 上越市の光ヶ原高原 

コロナ禍、物価高、猛暑――など相次ぐ難局に打ち勝とうと、新潟県上越市板倉区の光ヶ原高原に設置されたあさま山荘事件(1972年)の「難局打開の鉄球」のモニュメント前で2022年7月30日、難局打開の祈願が行われた。事件から今年で50年、同所でロケが行われた事件の映画の公開から20年に合わせ、地元の住民団体が企画した。

光ヶ原高原の鉄球モニュメント前で行われた「難局打開」の祈願

あさま山荘事件は、長野県軽井沢町の保養所あさま山荘で、銃で武装した「連合赤軍」の男5人が管理人の妻を人質に10日間立てこもった事件。警察官と民間人計3人が射殺され、警察と犯人グループの攻防はテレビ中継された。

光ヶ原高原のモニュメントは、役所広司さん主演で事件を描いた2002年公開の映画「突入せよ!あさま山荘事件」の山荘攻防戦シーンのロケが同所で行われたことを記念し、同年に当時の板倉町が建立した。設置されている鉄球は左側が事件発生時に人質救出の突破口を開くために集められた複数の鉄球の一つで、右側が光ヶ原高原での山荘の建物破壊の撮影に使用されたもの。鉄球の下には「閉塞された状況を打開する『難局打開の鉄球』と申せましょう」という、事件当時に現場で指揮をとり、映画で役所さんが演じた警察官僚の佐々淳行さんによる解説文も刻まれている。

標高約920mにたつモニュメント。左が事件で集められた鉄球、右が映画の撮影に使用された鉄球

神事には、映画のロケやモニュメント建立時に板倉町長を務めていた瀧澤純一さん(83)や建立に協力した地元企業、主催した「光ヶ原高原ファン倶楽部」の構成団体の代表ら10人余りが出席。鉄球の前で神職が祝詞を奏上した後、玉ぐしを捧げて祈願した。

鉄球に難局打開を祈願した

光ヶ原高原ファン倶楽部の渡邉衛会長(73)は、「鉄球から力を授けてもらって世情の難局打開に生かしたい。多くの人からこの場所に訪れてもらい祈願してもらったら」と話した。

モニュメントは道路沿いにある

7月31日午後2時からは、同倶楽部が主催し、板倉区針の板倉農村環境改善センターで映画「突入せよ!あさま山荘事件」の上映会も開かれる。映画には当時の市民が大勢エキストラとして参加している。35mmフイルムによる上映で、協力金1000円。問い合わせはゑしんの里記念館0255-81-4541

難局打開の鉄球モニュメントの場所