ネットに「仮設の映画館」 高田世界館参加 劇場にも収益

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国で休業が相次ぐ映画館を守ろうと、劇場公開と並行して新作映画等をインターネット上でも配信し、鑑賞料金を映画館にも分配する新たな取り組み「仮設の映画館」が始まっている。現在臨時休館中の新潟県上越市本町6の高田世界館も、2020年5月2日から参加する。

企画を立ち上げたのは、配給会社「東風」(東京都新宿区)と、新作「精神0ゼロ」の公開を控えた想田和弘監督。「精神0」は、とある精神科医が82歳で引退した後の、妻との人生を追ったドキュメンタリー映画。2日から全国で順次公開予定だったが、新型コロナが感染拡大する中、観客と劇場、配給会社、製作者の全員にとって何が良いことかを考え、特設サイトでの配信を決めたという。

特設サイト「仮設の映画館」では、作品を上映予定の全国の劇場から応援したい劇場や最寄りの劇場を選び、鑑賞料金を支払うと24時間作品を視聴することができる。売り上げは通常の劇場公開と同様の割合で、劇場と配給に分配される。

仮設の映画館で高田世界館を選択した場合の視聴イメージ ©Temporary CINEMA
20200415高田世界館「仮設の映画館」に参加

高田世界館の上野迪音支配人(32)は取り組みについて、「配給会社としては、劇場公開に回さず早く配信に出したほうが利益が出ると思うが、劇場に(お金が)落ちるようにしてくれたのがありがたい」と感謝。「観る人の裾野も一気に広がる」と期待を込めた。

同館は現在、新型コロナ対策で5月8日までの予定で臨時休館している。「精神0」の劇場での上映は5月30日からの予定だが、感染拡大状況によって変更する場合がある。

仮設の映画館(http://www.temporary-cinema.jp/)では5月2〜22日に「精神0」を配信予定。このほかにも、配信予定の作品が続々と決まっており、高田世界館が上映館として参加する作品も複数決まっているという。

映画「精神0」公式サイト https://www.seishin0.com/