焼失した安塚区の雪中貯蔵施設再建へ 上越市 2021年2月稼働目指す

新潟県上越市は2019年2月8日、同市安塚区樽田に雪中貯蔵施設を建設する計画を市議会農政建設常任委員会で明らかにした。2017年に火災で焼失した施設を再建するもので、観光対応型の施設とするほか、低コストで建設し民間事業者による施設整備を促す。

安塚区樽田の道の駅「雪のふるさと やすづか」にあった市の雪中貯蔵施設は、2017年12月に改修工事の溶接作業中の火花が原因で全焼した。市は再建に向けた基本構想案を議会に説明した。

火災で焼失した雪中貯蔵施設(2017年12月12日撮影)
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建設場所は従来と同じ物産館などがある道の駅敷地内で、貯蔵スペースは焼失前(340立方m)の約8割程度の300立方m。構造は焼失前の鉄骨造より低コストな木造建築とする。財源には火災の原因となった工事業者からの賠償金や災害共済金を充てる。

施設のコンセプトとしては▽雪室貯蔵による農業の高付加価値化▽見学機能を備えた観光・情報発信施設▽低コストでの整備による民間事業者への波及▽食品衛生への配慮──などを挙げている。

雪冷熱を活用した観光施設にもかかわらず、基本構想案では焼失前の施設にあった雪冷房が計画されていなかったことから、議員から導入を求める意見が相次いだ。

2019年度に基本設計と実施設計を行い、2020年度に建設工事に着手し、2021年2月の稼働開始を目指すとしている。

農産物などの貯蔵や建物の冷房に使われるいわゆる「雪室」と呼ばれる雪中貯蔵施設は、焼失した施設を除いても市内に10施設がある。市内では食品事業による雪室商品の開発やJAの雪下野菜や加工品の特産化などが活発に行われている。

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