「分身ロボット」北陸4県で上越市に初登場 エルマール内雑貨店 外出困難者に働く機会

障害や病気などで自由に外出することが難しい人が遠隔操作で働くことができる分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」が2022年7月11日、新潟県上越市西本町3の直江津ショッピングセンター「エルマール」1階の雑貨店「day break(デイブレイク)」に登場した=写真=。オリヒメが設置されたのは新潟県を含む北陸4県では初めて。同店が外出困難者に働く機会を提供しようと導入した。

オリヒメはオリィ研究所(東京都)が開発したインターネット経由で遠隔操作するロボット。高さ23cm、幅約17cmで、カメラやマイク、スピーカーが内蔵されている。「パイロット」と呼ばれる外出困難者が自宅でパソコンやスマートフォンなどを使って、オリヒメの顔や腕を動かしたり、相手の顔を見ながら会話したりできる。

会話するオリヒメ

デイブレイクでは入り口に1台を設置。全国各地の登録している男女7人のパイロットが、交代で平日午後2時30分から同4時30分までオリヒメを通じて勤務する。ショッピングセンター内の店舗のため、通りががりの買い物客に声を掛けたり、話しかけてきた客と会話したりする。横に置かれたタブレット端末にはパイロットの自己紹介や商品の写真など、パイロットが自由に表示することができる。

初日に勤務した東京都昭島市のイトさん(仮名)は、自宅からオリヒメを操作。「6月生まれでアジサイの花が好きなのでプロフィールに写真を使いました」などと紹介した。がんの治療中で、抗がん剤などの影響で体力や免疫力が低下しており、新型コロナウイルスの感染を防ぐためにも外に出て働くことは難しいという。同研究所が昨年6月に東京・日本橋に開設した「分身ロボットカフェ」でもパイロットとしてオリヒメを操作していて、多い時でほぼ毎日1〜3時間勤務している。

イトさんは「体調が落ち着けば『仕事をしたい』という気持ちがあるのに、なかなかできる仕事がない。体調に合わせて働ける上に、ロボットで働くということに魅力を感じた」と話す。「働くことですごく元気になったので、オリヒメが活躍する場所が増えてほしい。仲良くなりたいので、気軽に声を掛けてください」と呼び掛けていた。

エルマール1階の雑貨店「day break」

デイブレイクでは「商品の購入などは関係なく、出会いを楽しんでもらいたい。小さなお子さんなども会話を楽しみに来てもらえれば」と話している。