エベレスト登頂の三浦雄一郎氏が妙高市で「攻めの健康法」話す

2013年5月に80歳の世界最高齢でエベレスト登頂に成功した登山家、三浦雄一郎氏が2013年11月16日、新潟県妙高市の妙高市文化ホールで開かれた「妙高市民の心 推進大会」の中で約750人を前に講演した。自分を追い込む攻めの健康法や、若いころに国体や日本選手権で赤倉や関温泉のスキー場に訪れた思い出などを話した。

妙高市で講演した三浦さん(11月16日・妙高市文化ホール)
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三浦さんは1932年10月12日、青森県生まれ。1966年に富士山直滑降、1985に世界七大陸最高峰のスキー滑降を達成、2003年には次男豪太さんとともにエベレストに登頂し、当時70歳7か月での世界最高年齢登頂記録を樹立した。2008年には75歳7か月で2度目のエベレスト登頂、そして2013年に80歳で3度目のエベレスト登頂に成功し、世界最高年齢登頂記録を更新した。

講演で三浦さんは、76歳のとき3度目のエベレスト登頂を決意したときにさかのぼって話を始めた。以下、講演の骨子。

80歳に向けてトレーニングを開始したが、スキーのジャンプで失敗して左大腿骨と右骨盤4箇所を骨折し、救急車で運ばれた。北大の医師も手の施しようがなく、家族はエベレスト登頂をあきらめると思ったようだ。

魚屋からもらってきた鮭の頭を1日1匹、主食にして2か月食べ続けた。10人のうち3人が寝たきりになると言われたが、2か月で骨が付き始めた。そして、半年足らずで歩けるようになった。私の父(敬三さん)は、90~97歳までスキーとトレーニングで3回骨折している。90歳を超えると骨がくっつかないと言われるが、父は3回ともくっついた。そして99歳でモンブランを滑った。

現役を引退した60代になると、朝早く起きる必要はなく、運動は散歩程度。身長164cmなのに体重88kg、体脂肪率45%で、狭心症の発作が度々あった。検査したらカルテが赤字だらけ。血圧が190もあり、高脂血症、糖尿病も入っている。「余命が3年あるかどうか」と言われた。

メタボを治すのにエベレストへ登るのが一番だと思った。そのためにトレーニングをしようと、65歳のときに札幌の藻岩山に登った。標高が531mなのに30分も登ると脂汗が出て、あと10分で山頂だったが、腰を下ろしたら立ち上がれなかった。それからトレーニングを始め、足におもりを付け、背中にザックを背負って散歩した。半年で5、6kg体重が減って、500mをゆっくり登ったら登れた。1年で富士山に登った。3年経ったら片足におもりを5kgずつ付け15kgを背負った。最後は片足10kg、背中に30kgを付けてトレーニングした。メタボは治って70歳でエベレストに登った。

人間は希望、夢、目標をあきらめない気持ちが大事。できない理由よりも、できる理由を探す。どんなことも諦めない。病は気からで、治すのも気持ち。具体的に行動してみることが大事。

新潟県はスキーのメッカ。スキーは最高のスポーツでアンチエイジングにも最高で、攻めの健康法につながる。いくつになっても元気なことが、家族の絆の原点だ。

講演の動画(冒頭20分)