高田公園にいた2羽の黒鳥がこつ然と姿を消して4年が経過した。そして今年2011年1月末、4羽のアヒルも突然いなくなった。タヌキやイタチなどに襲われたのなら、羽などが残されているはずだが、痕跡はまったくない。高田公園で起きたミステリーとは?
今、J-MAXシアターで公開中の「ブラック・スワン」はミステリータッチのバレエ映画。純粋無垢な「白鳥」と、妖艶に王子を誘惑する「黒鳥」の二役を踊る「白鳥の湖」のプリマドンナに大抜擢されたバレリーナのニナ。優等生のニナには、悪の分身である黒鳥に変身する重圧に精神が追い詰められていく。
高田公園のブラックスワン(黒鳥)は、1980年、山口県宇部市の常盤公園で飼育されていたものを、上越市の花ユキツバキ、県花のチューリップ球根と交換したもの。当時オス、メス各2羽が毎年産卵してひなが育ち、99年ころには最も多く14羽いた。公園の黒鳥は映画のブラックスワンの悪役イメージとは違い、誰もから愛されていた。観桜会のころには内堀の土手で抱卵する姿が見られ、ひなが産まれると水面を泳ぐ愛らしい姿が市民の人気を集めた。だが、その後は近親交配の影響などでひなが育たないことが多く、成鳥の数は2羽にまで減ってしまった。
最後の2羽が高田公園からこつ然と姿を消したのは、4年前の2007年5月上旬。公園の飼育係員が最後に姿を確認したのは5月5日だった。公園管理人らが公園内をくまなく探したが見つからなかった。公園の黒鳥は飛ぶことができないように羽が切られているので、飛んで逃げることはない。タヌキやイタチなどに襲われた形跡も見られないことなどから、上越警察署に被害届も提出した。同年6月ごろには「六日町の川で黒鳥が泳いでいる」という情報が寄せられたが、高田公園の黒鳥ではなかったという。
そして今年1月、今度は同じ内堀にいたアヒル4羽がこつ然と姿を消した。公園管理事務所は「雪の下敷きにでもなったかとも思ったが、不思議なことにまったく痕跡がない。これで、内堀で飼育していた鳥は一匹もいなくなってしまった」と肩を落とす。
神かくしにあったように、突然いなくなった6羽。黒鳥とアヒルに、いったい何が起きたのだろうか。
足元に黒鳥がいた!
残念ながらいなくなってしまった高田公園の黒鳥に会いたい人は、上越市内を歩きながら足元を見てほしい。
上越市のマンホールのふたにその姿がある。高田公園の白鳥と黒鳥を中央に、サクラとハスがデザインされている。