日本海側最大のパプリカ栽培施設完成

上越市西松野木の農事組合法人「えちご高田ワールドスーパーライス」が、日本海側では最大規模というパプリカ栽培施設を建設した。鉄骨製のハウス2棟の約4600平方mで1万5000本を栽培、年間約80トンの生産を計画している。

施設の大高所作業車で収穫作業ができるよう、うねの間にレールを敷設
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きな特徴は、全国でも初という自動の湿度調整器の設置。湿度が安定して保たれることで病害虫の発生が抑制でき、消毒回数が減らせるため、コスト削減とともに、「安全安心」に関心の高い消費者ニーズに応えるパプリカが生産できる。

同法人によると、パプリカは約8割が輸入品。今後、安全安心な国産品の需要増が見込まれることや、「米や大豆だけでなく、収益性のある施設園芸作物を作ることで雪国でも通年営農を」とパプリカ栽培を導入した。総事業費は約2億2000万円で農水省の「強い農業づくり交付金」を受けた。

パプリカは養液栽培で、ハウス内の温度や養液濃度なども全てコンピューターで管理。吸収されずに溝にたまった養液は再利用し、また加温や冷房で出る二酸化炭素はハウス内で吸収されるなど、徹底した循環型。

苗は高さ約4.5mまで育つが、高所作業車で収穫などの作業ができるよう、うねの間にはレールが敷設されている。

本格的な収穫は4月下旬から5月上旬。新潟県内のスーパー、原信とナルスのほか東京の料理店に出荷。中京圏にも出荷する方針で現在交渉を進めている。

2010年3月27日に行われた竣工式では関原忠良理事長が「雪国でも施設園芸ができるという一つのモデルとして、一生懸命進めていきたい」とあいさつ。来賓の村山秀幸上越市長は「上越における農業の9割は米。農業の新しい担い手、新しい時代の農業として市や県のモデルとなれば」と期待を寄せた。