上越の桜餅は関西風?

桜餅には2種類、上越は道明寺が大半

右上が焼き皮タイプ(長命寺)、左下が道明寺

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春の香り、桜餅には「道明寺(どうみょうじ)」と「長命寺(ちょうめいじ)」の2種類がある。

ひとつは、餅米を蒸して乾燥させ砕いた「道明寺粉」を使い、まんじゅうのようにあんを包んだ関西風。一般に「道明寺」「道明寺餅」と言えば、このタイプの桜餅を指す。大阪の道明寺という寺の名が起源。つぶつぶした食感が特徴だ。

もう一種類は、関東風の「長命寺」タイプ。小麦粉などで作った生地で焼いたクレープ状の皮であんを包んでいる。江戸時代、隅田川沿いにある長命寺の門番・山本新六が、桜の落葉を利用して餅を作って門前で売り出したのが起源。関東では「長命寺」という呼称をあまり使わず、単に「桜餅」と言うことが多い。作り方から「焼き皮」とも言う。

両者とも桜の葉の塩漬けを使っているので、「桜餅」と呼ばれる。9割以上が伊豆地方で生産されている。やわらかくて毛が少ないのが特徴で、塩漬けにすることにより独特の風味を生んでいる。

エリア別に分けると、「長命寺」は関東と東北の一部や山陰が中心。残りの西日本(山陰除く)、東海、北陸、東北の一部、北海道は「道明寺」である。

20年前に長命寺から道明寺へ

上越市内の和菓子店に電話で聞いたところ、以前は焼き皮タイプ(長命寺)の桜餅を売る店が大半だったものの、20年前ごろから道明寺タイプに変わってきたという。

理由として、土肥菓子店(中央3)では「鉄板で皮を焼いて冷まさなくてはならず、手間がかかる」、貝沼菓子店(東本町2)では「焼き皮は次の日には固くなるため、1日で売り切らないといけない」と話す。つまり、製造側の都合もあって道明寺に移ってきたらしい。

また、笹川菓子店(西城町3)は、「米どころだけに、小麦粉を使う焼き皮よりも、もち米を使った桜餅の方が、上越の人の味覚に合ったたのではないか」と話す。

焼き皮タイプにこだわる店も
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一方で、昔ながらの焼き皮にこだわる店も残っている。栄喜堂菓子店(本町5)は、今も焼き皮タイプだけを販売している。「高田ではここしかないから」と買い求める固定客が多いという。相川菓子店(仲町1)では普段は道明寺だが3月3日のみ、長命寺を販売している。

直江津地区では土肥菓子店(中央3)が時期によって両タイプを切り替えて売っており、喜ばれている。

長くなった販売期間

桜餅の販売期間も昔と変わってきた。最近では正月から販売している店もあり、年々早まってきている。和菓子は「うぐいす餅」のあとに「桜餅」を販売するのが順序だが、最近はほぼ同時になってきた。

岩野屋菓子舗(港町1)では「両方をセットにして売ると、彩りがいい。核家族化が進んでいるので、セットにすると数が売れる」と話す。

販売終了時期は3月末前後が多いが、杉原菓子店(稲田1)では「要望が多く、2、3年前から花見期間中も販売している」と話す。

桜餅は販売期間も昔よりずいぶん長くなったようだ。

=取材日・2010年3月3~4日・川村=