2020年4月1日から名称変更した新潟県上越市の「高田城址公園」で同日、「第95回高田城址公園観桜会」(上越市など主催)が始まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、露店や物産展の出店はなく、花見客に飲食を伴う宴会などの自粛を求める中での開幕。観測史上最速の3月27日に開花した公園内の桜は五分咲きとなったが、時折小雨がぱらつくあいにくの天候もあり、訪れる人はまばらだった。会期は4月15日まで。
同公園の観桜会は「日本三大夜桜」として知られ、例年約300の露店が立ち並び100万人を超える花見客が訪れる同市最大の観光イベント。主催する市などは今年、桜の開花に合わせて会期前の3月28日からぼんぼり点灯と高田城三重櫓のライトアップを前倒しした。
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、多くの人が密集する状況を避けるため、パレードやステージなどの各種イベントのほか露店や物産展の出店を中止した。加えて、花見客にはブルーシートなどを広げての宴会や食事会などの自粛を呼び掛けている。
会場の公園内には、人混みを避け対人距離を2m程度空けることや、宴会や混雑時の飲食を控えるよう呼び掛ける看板が、あちこちに立てられた。また、桜に取り囲まれるように建つ高田城三重櫓とニシキゴイが泳ぐ内堀が眺められる極楽橋は、例年大勢の花見客で賑わうが、橋のたもとに看板が設置され、立ち止まらずに通行するよう注意喚起している。
新発田市から家族4人で訪れた44歳の男性は、あまりの人の少なさに驚いた様子。「3年前まで上越市に住んでいて、観桜会は花よりも人を見ている感じだった。こんなにまじまじと立ち止まって桜を見ることはなかったので、こういう花見もいいかも」と話していた。