第93回謙信公祭(同祭協賛会主催)の出陣行列が2018年8月26日、新潟県上越市春日山町周辺で行われた。天候が心配されたが、晴天の下、隊列が連なり、沿道に詰めかけた見物客を魅了した。
出陣行列は戦国武将・上杉謙信の上杉軍と武田信玄の武田軍の武将や兵に扮して練り歩く同祭の見せ場の一つ。今年の謙信役は、2006年以来12年ぶりとなる公募で選ばれた学校法人マハヤナ学園理事長の石田明義さん(52)が務めた。
隊列は同市春日山町1の市埋蔵文化財センター前を出発。武田軍、上杉軍の順で隊列が続いた。馬にまたがった甲冑姿の“石田”謙信は、午後5時前、大勢の見物人が集まった春日山交差点に上杉軍を束ね登場した。
郷土の武将・謙信の精神を学ぶ市民団体「謙信公『義の心』の会」会長も務めている石田さん。出陣行列では「皆が思う義の心とは何ぞや」と家臣に問いかけた上で、「上杉の義を持って前へ進むのじゃ。上杉全軍、抜刀」と声を張り上げた。出陣行列の参加者たちはこれに呼応し「エイエイオー」と勝どきを上げた。
出陣行列は、同祭を若い世代に継承していくことなどを目的に、昨年に引き続き、地元の中学生と大学生が演武を披露。今年は市立春日中の生徒や上越教育大の学生ら20人が出演した。大きな掛け声を上げながら一斉に抜刀し、力強い刀さばきを披露。見物客から大きな拍手を受けた。
友人と3人で出陣行列を見物したオーストラリア出身の留学生、ミチェル・グリフィスさん(22)は浴衣姿で見物。東京から初めて祭りを訪れ、迫力ある出陣行列に「日本の歴史に興味があるのですごくおもしろかった」と嬉しそうに話した。